サンタアニタTが4年ぶりに夏に戻ってきた今年、あの男が6年ぶりにサンタアニタ経由で大井に戻ってきた。ライアン・クアトロ騎手(31)。母国のフランスを飛び出してアメリカ、アジア、中東を渡り歩いてきた国際派。21年11月からはデルマー、ロスアラミトス、サンタアニタと米西海岸を拠点に騎乗していた。

負傷により2月20日までの騎乗で帰国したが、1年4カ月で57勝。米国通算を240勝に伸ばした。その間もずっと2度目の来日を考えていたようで「20年に来ようとしたけど、コロナで駄目で」。17年の来日では29勝を挙げ、地方競馬の1回の短期免許期間での最多勝に並んだ。その記録を20年に1勝差でミシェル騎手に抜かれ、今回は3カ月の免許期間中に「30勝以上したい」と意気込む。来日の直前にはマカオで騎乗。7月15日のマカオダービーなど2日間で7鞍に乗り、レース勘を確かめてきた。

記録に並ばれた当時、当コラムに「彼女が僕の記録を破ったら、戻って王冠を取り返す(笑い)。これは素晴らしい競争です」とのコメントを寄せてくれた。取り返せるか。今回の騎乗も注目したい。【牛山基康】