レスリング学生王者が木馬に乗ってみた-。今回の「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」は、21年レスリング全日本学生選手権フリースタイル74キロ級Vの深田雄智記者が、函館出張で開催されたイベントで木馬に騎乗した様子をリポートする。レスリングの構えとジョッキーのモンキースタイル。基本姿勢が似ていると感じていた記者にとって、念願の木馬騎乗。実際に体験して感じ取ったのは、想像以上の過酷さだった。

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低く、安定した姿勢が基本。レスリングを4歳~大学までやっていた記者は、競馬を見ていて“レスリングの構えとモンキースタイルは似ている”と感じた。レスリング(フリースタイル)は、中腰より少しひざを曲げて、ややつま先に重心をかけるのが基本の構え。素早くタックルするための土台を作る。利き側によって左右の足どちらを前に出すか以外は、大まかに騎乗姿勢と同じだ。

記者になった今、身をもって騎乗姿勢を体感したい。ただ、競走馬に乗ることはほぼ不可能。せめて木馬だけでも乗りたい…。7月、函館開催が全日程終了した翌日。「わくわく親子見学ツアー」と題して、競馬に関するさまざまな職業の紹介が行われた。プログラムの最初が「木馬体験」。参加していた親子が続々騎乗していた。すると突然。

「記者の方もぜひ乗ってください」

声の主は佐々木大輔騎手。こんな機会、なかなかない-。スッと手を挙げて「乗ります」と前に出た。

実際にまたがり、鐙(あぶみ)に足を乗せる。モンキースタイルを想像してひざを曲げ、レスリングの構えより少し低めに腰を落とす。鐙のバランスも、つま先重心だった現役時代を思い出す。あれ、意外と姿勢はいける…。問題はここからだった。

騎手になったイメージで追い出す。隣でサポートしてくれた荻野琢真騎手が、木馬の首をぐいぐい下に落としてきた。おのずと激しく追う動作になる。バランスを保つのに精いっぱい。そんな中「むち打ってみて!」と言う佐々木騎手。指示通り打つがバランスが取れない。「持ち替えて!」と言われるが手が塞がって持ち替えられない。難しすぎる。

木馬を降りると下半身がぷるぷる震える。ものの30秒程度しか追ってないが、翌日は全身筋肉痛。特に体幹が刺激され、腹筋と背筋が痛かった。乗り終えた直後、複数の騎手から「すごいですよ。最初からあんなにできるなんて」と励まされたが、撮ってもらった動画を見返すと…。思ったより低い姿勢ができておらず、むちを打つ時は上体が浮いていた。

どの競技でも基本姿勢に上乗せして、十人十色のスタイルがある。時速70キロ近く出るサラブレッドを操縦し、1日最大12レースも騎乗する騎手には尊敬の念をより強く抱いた。トレセンの取材で「馬に乗ったことないのにわかったことを言うな」とくぎを刺されることもあるが、木馬に乗って騎手という職業の過酷さを少しでも肌で感じられた。低い姿勢は何事も基本。貴重な経験を経て、もっと騎手の魅力を伝えたい。さらに競馬が好きになった。(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)

木馬にまたがり実際に追う深田雄智記者
木馬にまたがり実際に追う深田雄智記者
レスリング選手時代の深田記者の構え
レスリング選手時代の深田記者の構え