6日付の日刊スポーツ競馬面で極ウマ制定の23-24年シーズン「クラシック番付」(毎週水曜掲載)が再開しました。番付編成会議で番付入りが見送られた馬たちを東京の木南友輔記者、大阪の岡本光男記者が「番外編」として紹介します。
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木南 「クラシック番付」といえば極ウマなわけです。
岡本 そうやね。ずっと昔から、もう何十年も紙面でやっている企画やから。「なんでうちの馬が入ってないんや」って、関係者から熱い言葉をもらった回数は数え切れないよ。
木南 取材しながら、感情移入もする。番付編成委員(記者)全員が推したい馬を入れたいですけど、それは無理ってことで、今年もここで紹介します。
岡本 牡馬、牝馬、9頭ずつやからね。番付入りできるのは…。
木南 見送った馬。まずは、シュトラウス(牡、武井)でしょう。3回東京開催初日の芝1600メートルで2着に9馬身差。ブルーメンブラットの子は9頭目の勝ち上がりになりました。
岡本 お母さんがマイルG1馬。「規格外の馬だと思う」という声と「クラシックではなく、マイル路線では…」という声がぶつかった。
木南 ダービーをタスティエーラで制した堀厩舎が春の東京で新馬戦3戦3勝。ダノンエアズロック(牡)は番付入りしましたが、マイル戦で逃げ切ったゴンバデカーブース(牡)、ボルケーノ(牡)は番付入りしませんでした。ゴンバデの父で新種牡馬のブリックスアンドモルタルは本当に「サンデーサイレンスの再来」となれるのかどうか。堀厩舎は札幌で勝ったドゥレイクパセージ(牡)を推す声もありました。
岡本 宝塚記念週の土曜東京芝1800メートルを勝ったヴェロキラプトル(牡、高野)は侮れない。時計は平凡だったかもしれないけど、負かした馬からロジルーラー(牡、稲垣)、ルージュスエルテ(牝、国枝)、ニシノクラウン(牡、相沢)が勝ち上がっている。先週までの2歳戦179鞍で、最多の11勝を挙げているのがスワーヴリチャード産駒なんやけど、初年度産駒でJRA初勝利をマークしたのがヴェロキラプトルだった。お父さんは府中で共同通信杯、アルゼンチン共和国杯、ジャパンCを勝っている。
木南 ルージュスエルテはデビュー前に美浦のウッドでラスト10秒台をたたき出した騒がれました。調教を見ていた井上記者がほれ込んじゃって「あの瞬発力はハンパないです」と…。夏の新潟最終週に1400メートルで逃げ切り。次走は「秋の東京で、マイル戦のどこかを」と国枝師は話しています。同じ新潟1400メートルのダリア賞を勝ったコラソンビート(牝、加藤士)は新馬戦がボンドガール、チェルヴィニアの3着。ギリギリ最後まで番付入りの候補になっていた。
岡本 阿部記者は「国枝厩舎ならステレンボッシュ(牝)を」と推してきた。横綱レガレイラと同じウインドインハーヘアの牝系やね。国枝厩舎では他にエリカリーシャン(牝)を推す声もあった。ウインドインハーヘアの血はやっぱりすごい。木村デスクが猛プッシュだったのは札幌で勝ったアーバンシック(牡、武井)。福島ではヘルモーズ(牡、小林)も勝った。
木南 阪神組はギャンブルルームが番付入り。テラメリタ(牝、須貝)、アトロルーベンス(牝、高野)、ヒヒーン(牝、須貝)は次戦で負けてしまいましたが…。
岡本 レディントン(牡、杉山晴)は共同通信杯を勝ったハンソデバンドの半弟。「うまく賞金加算できればクラシック路線に乗ってきそう」とプッシュしてくる委員もいた。
木南 福島で目立ったのが、芝1800メートルで3勝を挙げた牧浦厩舎です。エコロヴァルツ(牡)はコスモス賞をぶっちぎって番付入りしました。牝馬トレミニョンは札幌2歳S5着で番付入り。エコロマーズ(牡、牧浦)、ティンク(牝、久保田)、アレグロブリランテ(牡、上原佑)、インビジブルセルフ(牡、池江)、コスモブッドレア(牡、小野)、北海道に転戦してクローバー賞を勝ったコスモディナー(牝、伊藤伸)…。今年の福島組は先々面白そうな馬がそろってます。
岡本 先々という点では、1頭も番付入りしなかったレイデオロ産駒の評価をどうするか。
木南 注目の新種牡馬ですが、種牡馬としてのスタートダッシュはぶっちゃけ鈍かった。
岡本 中京でマテンロウゴールド(牡、中内田)、新潟の未勝利でラケダイモーン(牡、須貝)が勝ち上がって、どっちも芝の2000メートル。少し時間がかかるのかも。良血馬が多いし、レイデオロ自身がそうだったように、産駒も春夏ではなく、秋からが勝負だと思う。
木南 特殊な馬場状態だったこと、近年の実績を考慮して、札幌2歳S組は牡馬で大量4頭が番付入り。札幌出張の記者たちがそれ以外で推してきたのが、牝馬のラヴスコール(牝、加藤征)とレアリゼアンレーヴ(牝、須貝)。レーヴジーニアル(牝、松永幹)、ヴィクトリアドール(牝、奥村豊)も血統馬、レガーロデルシエロ(牡、栗田)の未勝利戦は時計が優秀だった。これらに期待する声もありました。
岡本 ここ2年連続で誕生した牝馬2冠馬、スターズオンアースとリバティアイランドはどっちも新潟デビューやった。去年のダービー馬ドウデュースは小倉デビュー。どこからクラシックホースが出てくるか分からない。
木南 評判になっていたホウオウプロサンゲ(牡、矢作)は2戦目の小倉で変わりましたね。先週の夏コク最終週に出張していた記者はルシフェル(牝、斉藤崇)、アナベルエクラ(牝、清水久)を高く評価していました。
岡本 今回の番付編成会議は3カ月分を一気に振り返ったわけやけど…。やっぱり、牡馬牝馬9頭ずつを選ぶのは簡単じゃないなあ…。
木南 来週からは毎週水曜付の「日刊スポーツ」紙面に最新のクラシック番付が掲載。新たにどんな馬たちが入幕してくるのか、読者(ファン)の皆さんと一緒に楽しみましょう。