10月1日に迫った凱旋門賞(G1、芝2400メートル、パリロンシャン)に向けて27日、日本から唯一出走するスルーセブンシーズ(牝5、尾関)を管理する尾関知人師(51)、コンビを組んで3戦3勝のクリストフ・ルメール騎手(44)が現地フランスにてフランスギャロ主催の共同会見に臨んだ。一問一答は以下の通り。
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-フランス入りして2週間ほど。今朝の追い切りを含めて調教過程について
尾関氏 輸送も時間は長かったが、その距離の考えられる中ではすごくスムーズな輸送ができました。いろいろな方のサポートがあったので無事に到着しました。その甲斐もあって、調教も特に心配なく進められています。今朝はエーグル調教場で(追い切りを)やりたいと思っていたので、日曜にそこまでハードにやらないところで、エーグルを使って、下見を兼ねて、いいキャンターをやりました。人馬とも慣れて、(最終追い切りは)スムーズにできました。日曜とはコースが少しずれていたので心配したところもありましたが、調教助手もすごくうまく対応してくれて、イメージに近い形でできました。最後はしっかり伸ばして、この馬らしい大きいストライドの走りをしてくれたと思います。
-今朝のスルーセブンシーズの印象について
ルメール騎手 とても調子が良さそうで、私の知っているスルーセブンシーズでした。動きもダイナミックで今朝は重馬場でしたが、力強い走りを見せていました。
-今朝は重馬場。日曜にかけて馬場が良くなる予報が出ている。日本馬は重馬場で苦戦している。馬場状態についてはどう考えているか
尾関師 特にこの3、4年はかなりタフな馬場のレースが多かったので、なかなかあそこまで重い馬場になると、この馬自身はこなせる要素はあると思いますが、楽ではないと思っていました。今の馬場状態、天気予報を見ている限りは今のところは一安心しています。
-5歳になってG3を勝って、宝塚記念ではイクイノックス相手に2着。この成長について
尾関師 ひとつは馬体面。カイ食いが細かったあたりが競馬を使われて、精神的に難しくなったところを乗り越えて順応してきてくれました。精神面に関してもそういう部分で成長が見られます。昨年の夏の後に長い休みがあったんですけど、そのタイミングでより心身の成長が見られたと思います。
-2走前に中山牝馬Sのときに乗った印象。凱旋門賞に挑戦することへのイメージは
ルメール騎手 G3に乗ったときに、とてもいい印象を与えてくれた馬でした。すごくいい勝ち方をしてくれましたし、以前乗ったときよりも成長していると思いました。宝塚記念で2着になって、思っていた通りの結果でした。今の状態を見ると日本のG1を勝つレベルには達していると思います。凱旋門賞に出るのは重要なことですし、健闘してくれると思っています。
-10年前にステラウインド(フォワ賞5着、ドラール賞7着)とフランスに来た。そのときの教訓、経験は生きているか
尾関師 当時は(13年4着)キズナのサポートという重要な役割がありましたが、あの時にああやってフランスに来させてもらい、いい経験をしました。また変わってきているところもありますし、その間にもさまざまな香港、ドバイとかで経験をさせていただいて、ある程度ノウハウは積み重ねられたと思います。その中で大きなチャレンジになっているので、その経験を糧にしつつ、逆にそれに頼らないように、レースまでやっていかないといけないと思います。
-前哨戦を戦わなかった。なぜか
尾関師 この馬自身の心身のバランス、過去の流れも含めて、ある程度間隔をもって競馬を臨むのがベスト。中山牝馬Sから宝塚記念と同じような間隔で、特に間に輸送も入るし、ちょうどいい間隔だと思っています。現状、馬の状態もいい状態できていると思います。
-凱旋門賞への思い
尾関師 正直、競馬ファンから競馬の関係者になって、調教師になることができて、段階を踏んできている中で大きすぎる目標というか、自分の立場的には現実感はないが、こうして目の前の馬の一挙手一投足に携わって、あまり緊張しないように当日を迎えたいと思います。
-日本にとって夢だとされる凱旋門賞制覇が、遠ざかっているのではないか。実際に一番成績を残したアーモンドアイ、イクイノックスが来ていない
尾関師 凱旋門賞というレースに向かうところに関して、どういった馬を連れていけばいいのかを試行錯誤している段階だと思います。今回のスルーセブンシーズに関してもオーナー、生産者のノーザンファームと相談した中でこの馬がチャレンジすることになりました。決して、勝利が遠のいているわけではなく、私自身はこの馬の、このチャレンジに関してフィットできるものと信じてやってきています。結果を出せるように頑張っていきたいです。
-今年も馬場状態がポイントで、それ次第で来る馬も変わる
尾関師 馬場を見て出走表明をしている陣営もあるみたいですし、ありきたりですが、まずはスルーセブンシーズをしっかりと競馬当日までいい状態までもっていくことしかできないので。あとはルメール騎手にバトンを渡します。
-近年は前哨戦を使わないケースだと1週前に来るケースが多い。2週前にフランス入りは環境順応が目的か。
尾関師 (宝塚記念前に)栗東滞在した時の馬の状態も予行演習にもなりましたし、そこで結果を出すことができました。そういうイメージでここに来たというのもあります。国内でも徐々に負荷を上げながら調整して、輸送もあるので、そこら辺を考慮して調整してきました。輸送後の馬の状態で(負荷の強い調教を)どこまでやるか、輸送した後のリカバリーもうまくいったので、先週、今週も追い切りをうまくできたと思います。
-ルメール騎手にも凱旋門賞への思いをうかがいたい
ルメール騎手 私もフランス人ですし、フランス人の騎手として凱旋門賞を勝つのは夢以上のことです。日本馬で勝つことができたら、それを超えるすばらしいこと。日本にいる年月も長いですが、毎年この時期に行われる凱旋門賞はスケジュールの中に入れています。今年も凱旋門賞に出場できて光栄ですし、自分自身としても幸せです。日本馬が勝つことが達成されたら、どんなにすごいことかを感じています。全力で乗りたいです。