ナナちゃん、おめでとう-。JRAの女性ジョッキー、藤田菜七子騎手(26=根本)が10日、結婚することを発表した。相手はJRA(日本中央競馬会)職員の20代男性。16年にデビューし、女性騎手の年間最多勝記録、重賞制覇など数々の記録を塗り替えてきたJRA女性ジョッキーの第一人者が幸せをつかんだ。
◇ ◇ ◇
突然の発表に競馬界が祝福ムードに包まれた。10日、藤田騎手は自身のインスタグラムを更新。「この度、JRA職員の方と結婚する事になりました。彼とは昨年秋頃からお付き合いさせて頂き、彼の穏やかな優しい性格に惹かれ、人間としても成長させてくれる人です。今後も現役を続けますし、より一層競馬に精進してまいります」(原文まま)と結婚を発表した。関係者によると、お相手のJRA職員は北海道出身。学生時代に馬術の経験があり、入会後も馬を取り扱う現場で勤務している人物だという。
藤田騎手は16年ぶりに誕生したJRA女性ジョッキーとして注目を浴びてきた。16年3月3日の“ひなまつりデビュー”に始まり、さまざまな記録を更新。競馬場には多くのファンが詰めかけ、菜七子フィーバーが起きた。重賞競走初勝利を果たし、海外の招待競走にも積極的に参戦。パイオニアである藤田騎手の存在が女性に対する門戸を広げ、19年3月には女性騎手の騎乗機会拡大を目的とした減量制度もJRAに新設された。今年は英国アスコット競馬場で行われる騎手招待競走「シャーガーカップ」に5年ぶり2度目の参加が決まり、世界の名手と腕を競う予定となっている。
結婚発表後、藤田騎手は取材に応じ、「(お相手の方との)共通の趣味はゲーム。まだ一緒に住んでいないのでなかなか会うタイミングがないのですが、会えたときはいろいろな場所に行ったりしています。何歳までに結婚をしたいとかは具体的に考えていませんでしたが、地元の友だちがたくさん結婚したこともあり、自然と『私も結婚したい』という気持ちが芽生えました。結婚を決めたとき、“引退”はまったく頭をよぎりませんでした。ジョッキーとしてもっともっと頑張らなきゃいけないし、成し遂げていないことがたくさんあります」と心境を語った。結婚後も登録名は「藤田」で変えない予定だ。
藤田菜七子の背中を追いかける後輩騎手も次々と誕生し、今も彼女にあこがれて騎手を目指す女性たちがいる。デビュー前から藤田騎手のあこがれの存在だったのがリサ・オールプレス騎手。短期免許で来日していた同騎手はニュージーランドのトップジョッキーであり、「ママさんジョッキー」だった。名古屋の宮下瞳騎手は今年、黄綬褒章を受賞。一昨年、昨年と夫のマーカンド騎手とともに短期免許で来日した英国のホリー・ドイル騎手など、国内外に結婚後も活躍している女性騎手たちがいる。「結婚をしたことで一層、競馬に精進したいという気持ちです。明るい笑顔の絶えない家庭を築けていけたらと思っています」。公私ともに充実した藤田菜七子騎手の今後の活躍に注目だ。
◆藤田菜七子(ふじた・ななこ) 1997年(平9)8月9日、茨城県守谷市生まれ。小学校6年生の時にテレビの競馬中継を観戦し、騎手を志した。13年4月にJRA競馬学校(32期生)へ入学し、16年2月に卒業。師匠はダービージョッキーの根本康広調教師。デビュー当時の趣味は読書と音楽鑑賞で、お気に入りの作家は伊坂幸太郎、好きな歌手はEXILE、ONE DIRECTION、尊敬する人は坂本龍馬、座右の銘は正々堂々。空手は黒帯、剣道は2段。デビュー2年目の17年には年間14勝でJRA女性騎手の年間最多勝記録を20年ぶりに更新。日刊スポーツ新聞社制定の中央競馬騎手年間ホープ賞に輝く。19年6月にスウェーデンで行われた女性ジョッキーワールドカップで総合優勝。同年に英国の騎手招待競走「シャーガーC」に選出され、今年は2度目の出場が内定している。

