極ウマ記者の24年は、それぞれどんな1年だったのか? 予想が好調だった人もいれば、不調続きだった人もいるだろう。まさに、悲喜こもごも。日刊スポーツの競馬担当記者が、今年1年を振り返ります。

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【太田尚樹記者】

普通なら今年の大的中を振り返るのだろうが、自戒も込めて、最も大損した一戦を挙げたい。

衝撃の天皇賞・秋だ。

本命リバティアイランドで自信があったし、すべてが読み通りだった…。4コーナまでは。1000メートル通過59秒9はスローペースで、唯一の強敵とみていたドウデュースは後方にいた。これなら届かない。直線を向いた時には的中を確信していた。

その約30秒後、自分の常識が粉砕された。

好位から失速したリバティアイランドはもちろん責められない。僕が甘かった。

しかしながらドウデュースの豪脚には恐れ入るしかなかった。ありえないはずの大外一気。上がり32秒5はG1勝ち馬で史上最速だ。武豊騎手も「すごい脚」と舌を巻いた。

ウイニングランを終えた人馬を出迎えた前川助手は、こう証言している。

「ユタカさんも興奮気味でした」

キャリア38年目の55歳をも心躍らせた究極の瞬発力。それは自らの手腕で引き出したものでもあった。これぞ自画自賛か。

注目すべきは直線入り口だ。後方2番手のポジションにいながら、レジェンドの手綱が動いたのは残り400メートルを切ってからだった。現地で見守っていた大江助手も感嘆した。

「驚かされました。あそこから、ひと呼吸おいて仕掛けるなんてできない」

ためにためて、爆発させる。慌てない精神力と勝負勘の極致だろう。

5歳秋にしてピークを迎えたドウデュース。その能力を最大限に発揮させた武豊騎手。今年最高額の“観戦料”を払わされたが、すさまじいパフォーマンスを見せてもらった。

◆太田尚樹(おおた・なおき)1980年(昭55)3月10日、岐阜県大垣市生まれ。02年入社。中央競馬担当となった同年秋はG1・11戦全敗。04年から大相撲、五輪競技(08年北京大会取材)、プロ野球ソフトバンクの担当を経て10年秋に復帰。20年4月から大阪本紙予想担当。インスタグラム(nikkan_ota)はフォロワー2万6000人超。趣味はマラソンで自己ベストは3時間7分16秒(24年3月)。