巨人が打てずに苦しんでいることがまともに伝わってくる。投手陣は土曜日の初戦も延長まで無失点。この日も2点で食い止めた。打てないことが、現状の苦境を物語る。
そして、打線全体に通して感じるのは、おのおのの工夫の足りなさ、これに尽きる。若手にチャンスを与えながら現状打破の狙いは理解できる。その上で、打てないことは勝負事の常として受け止めるが、その過程で見過ごせない部分はある。どうしても若手の打席、それも結果球の場面に話が及ぶのだが、これは残り試合に向けた糧への苦言と考えてほしい。
2回の荒巻の見逃し三振と、6回の代打リチャードの見逃し三振。いずれも真っすぐに手を出さなかった。
若手だから真っすぐを振らずに三振なんてとんでもない、という指摘ではない。恐らく2人とも変化球が頭にあったのだろう。ゆえに、それほど厳しくもない真っすぐがズバッと来て手が出せなかった、そんなところではないか。
通常、追い込まれると変化球を頭に入れつつ真っすぐに比重を置く。それは荒巻もリチャードも心得ているだろう。にもかかわらず、変化球への意識が強いあまり、何でもない真っすぐに手が出なかった。
結果が欲しいゆえの心理状態だったと想像する。しかしだ、ベンチの阿部監督も亀井打撃コーチも、十分な実績と経験のある指導者だ。追い込まれて、真っすぐの優先順位を維持しながら変化球で裏をかかれたとして、そこは十分に理解するだろう。
さらに言えば、たとえ真っすぐ待ちでも、アウトローのギリギリや、内角の厳しいところを突かれれば手が出ないこともある。追い込まれたら多くの場合、バッテリーが有利。まずセオリーとしてしっかり真っすぐに備える。この考えを練習からきっちり、根を詰めてバットを振ってほしい。
いまさらの指摘かもしれない。しかし、まだ巨人の戦いは続く。阪神が抜けているとはいえ、Aクラス争いは混戦模様だ。
荒巻にしろ、リチャードにしろ、勝負どころでの起用はまだ続く。今のふがいなさは、明日の進歩への栄養にしてもらいたい。あっさりと見逃した真っすぐを、次の機会ではしぶといスイングで食らい付いてほしい。下を向いている時間は一瞬たりともない。(日刊スポーツ評論家)




