<パCSファイナルステージ:西武4-10ソフトバンク>◇第1戦◇17日◇メットライフドーム

大きな瞳がしっかりととらえていたのは栄光をたたえるトロフィーとペナントだったように思う。CSファイナル初戦を前にした西武のパ・リーグ制覇のセレモニー。一塁側ベンチ前に整列したホークスナインの先頭で工藤監督は「屈辱」をかみしめていたのかもしれない。球場内に響く称賛の拍手。背番号「81」は一拍遅れて、手を打ったように見えた。

連覇を誓いながら、所沢の地で力尽きたのはほんの3週間前。西武との敵地最終3連戦は3ゲーム差で挑みながら、連敗を喫して夢は散った。1位西武との最終ゲーム差は6・5。タラレバは禁物だが、あの3連戦、3連勝をもぎ取っていたらペナントの行方はどうなっていたか分からない。

だが、すべては終わったことである。リーグVは逃したとはいえ、日本一へのロードは続いている。CSファーストステージで日本ハムを撃破。チームは雪辱の地・所沢に戻ってきた。

1勝のアドバンテージを速攻で取り返した。16安打を放って10得点。「山賊打線」のお株を奪う猛攻で圧勝した。この日から戦闘メンバーに加わったキャプテン内川も代打で快打を飛ばした。1軍との実戦がなく、宮崎で調整してきた西武と比べれば「硬さ」も感じられなかったように思う。プレーオフ、CS制度になって過去2度(06年、12年)、ホークスはこの所沢で戦っているが、いずれもステージを突破している。「下克上」を誓うチームにとってゲンのいい数字とともに「V逸」の悔しさをぶつけてもらいたい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】