われながら、少し意地悪な質問だったと思う。「焦る気持ちも?」。17日までの実戦3試合で4打数無安打だった楽天ドラフト7位の小郷裕哉外野手(22=立正大)に聞いた。16日のロッテ戦ではドラフト6位の渡辺佳明内野手(22=明大)が12球団のルーキー最速で「対外試合1号」をマーク。翌17日のロッテ戦ではドラフト1位辰己涼介外野手(22=立命大)が実戦初安打を本塁打で飾っていた。

分かりきった問いに、小郷は的確な自己分析で返してくれた。「追い込まれた時の変化球、特に落ちる球が、大学生よりもいいところというか、自分に近いところで変化をするので、その見極めですね。ボールを長く見て、内側をたたき、セカンドより45度逆方向に打っていくイメージ。きれいなヒットを求めすぎているところがあるので、泥くさく、詰まった内野安打とかでもいい」。金森1軍打撃チーフコーチとの取り組みを理路整然と話した。

今年の楽天の新人野手では最も遅い指名だったが、プロ志望届を出したのは一番早かった。1年春からベンチ入りして2度の甲子園出場も経験した岡山・関西高時代に指名漏れを経験。当時6球団から調査書が届いていたものの、名前は呼ばれなかった。東都2部だった立正大に進んだ時のことを「大学野球を、ちょっと下に見ていたところもありました」と正直に告白する。すぐにレベルの高さに気付かされた。そして「誰も『ああしろ、こうしろ』とは言わない」。試合に出るために何をどう磨くか。ひたすら考えた。ベンチ入りは2年春、レギュラーになったのは3年春からだった。

「周りがプロと大学生という違いはありますけど、今の状況って、大学に入った頃と少し似ているんです。聞きにいけば教えてもらえるけど、誰も助けてくれるわけじゃない。自分がやるしかない。逆に、高校を出てすぐにプロに入っていたら、どうなっていたか。そんな風に考えることはありますよ」。大学での経験があったから、今の自分がある。22歳は必死に、それでいてどこか冷静にもがいている。【楽天担当 亀山泰宏】