初めて五輪に出場するメキシコの動静が多くは伝わってこない。五輪開幕まで2カ月を切った。長引くコロナ禍で出場権を得ている国々も19年プレミア12以降、強化試合を実践していないのは同じだ。それでも日本も含め、代表選考の途中過程が垣間見えるが、メキシコの情報は少ない。

日本のプロが出場したメキシコ戦
日本のプロが出場したメキシコ戦

日本にとっては不気味だ。1次リーグの組分けは世界ランキングにより、2組6チームに分類される。現在進行中の五輪予選次第で順位変動はあるが、現在1位の日本は上位ランク4番目、5番目のチームと同組になる。ランキング通り、2位米国が順当に突破し、すでに出場権を得ている3位韓国に次ぎ、上位4、5番目のチームに来る可能性が高いのがメキシコだ。

WBC、プレミア12と主要国際大会では日本の4戦全勝だが、強化試合では16、19年で2勝2敗の五分。直近の19年11月のプレミア12ではスーパーラウンドで当たり、3-1の接戦だった。トップカテゴリーではないが、稲葉監督が18年に日本を指揮したU23W杯決勝で敗れ、手ごわさは十分に体感している。

メキシコは対日本だけでなく、プレミア12では1次ラウンド、3位決定戦と米国を撃破。マイナー選手主体とはいえ、野球大国に連勝を収めた。勝った方が米大陸最上位として出場権を得る3位決定戦で日本プロ野球にゆかりのある面々が活躍した。1点を追う9回には元中日、オリックスのクラークが起死回生の同点弾。延長10回には元阪神のナバーロがサヨナラ適時打で歴史を切り開いた。

オリックス時代のクラーク
オリックス時代のクラーク
阪神時代のナバーロ
阪神時代のナバーロ
楽天時代のルイス・クルーズ
楽天時代のルイス・クルーズ

“地の利”も得た。最後の五輪切符をかけた最終予選は台湾で行われる予定だった。だが新型コロナウイルスの感染拡大で台湾が開催を返上。メキシコのプエブラ州が22~26日に代替開催する。侍ジャパンは隔離期間などもあるため現地への視察の派遣を断念しているが、メキシコはお膝元で行われる決戦の入念なチェックが可能だ。

元ロッテ、巨人、楽天でプレーし、WBC3度の出場歴を誇るクルーズも虎視眈々(たんたん)と代表入りを狙っているという。ダークホースになりえるチームだ。【広重竜太郎】