DeNA森敬斗(2020年10月31日撮影・浅見桂子)
DeNA森敬斗(2020年10月31日撮影・浅見桂子)

<みやざきフェニックス・リーグ:DeNA8-6オリックス>◇12日◇SOKKENスタジアム

日刊スポーツ評論家の田村藤夫氏(61)が、12日のオリックス-DeNA戦では2人の高卒1年目のショートに注目した。DeNA森敬斗(18=桐蔭学園)とオリックス紅林に、高卒ショートとして大きな可能性を見いだした。

この試合では、オリックスが紅林、DeNAが森と両チームとも高卒ルーキーがショートを守った。2人とも1年目で1軍デビューを経験しており、将来が期待される存在だ。おそらく2人ともお互いを意識しながらこの試合を戦ったことだと思う。

この試合でも森は俊敏で、18歳らしいキレのある動きを見せていた。4回にはセンター前に抜けた打球に対して反応も良く、迷わず飛び込む貪欲さも見えた。私は捕手出身であるだけに、中前に抜ける打球に対し、二遊間がいかにアグレッシブにチャレンジするかを大切にしてきた。そういう点で、森の意欲的な部分は見ていてこちらに伝わってきた。

エラーが1つあった。ボテボテのゴロで目いっぱい前進して捕球しようとしたが、はじいてしまった。これは上体が高かったことが要因の1つとして考えられる。改善するには、もう少し膝を曲げて処理に入れば、打球に対応できる。これも大事な経験だ。人工芝ではこういう打球処理もそうそう経験できない。土のグラウンドでいろんな打球を受けてこそ打球処理の経験値も上がる。失敗を怖がらず、思い切ったプレーを続けてほしい。

バッティングでは第4打席で16年のドラフト2位で現在は育成契約の黒木優太(26=橘学苑-立正大)の初球、真ん中インコースよりの151キロを右中間真っ二つの二塁打が光った。3打数1安打1四球、2三振。第3打席では無死一、二塁できっちり犠打も決めている。盗塁も1記録しており、試合の中で躍動している印象だった。

この試合を見る限り、スローイングでは紅林の方が安定していたが、お互いに刺激しあってどんどん上を目指してほしい。高卒ショートと言えば、巨人坂本勇人(光星学院)に代表される。古くは私のチームメートだった日本ハム田中幸雄(都城)など、数多くの名プレーヤーがいる。

2人もそういった先輩たちを目標にして、チャンスが来た時に確実につかめるよう、野球に没頭してもらいたい。

13日はDeNA-中日戦(アイビー)の予定。昨年まで中日2軍バッテリーコーチを務めていたため、若手の変化に注目したい。(日刊スポーツ評論家)