「背番号18のエース」は最後の夏に復活した。

 23日、高校野球大阪大会の4回戦に登場した太成学院大高。チームは敗戦。背番号18の城(じょう)雄大投手(3年)の登板はなく、ベンチで最後の瞬間を見守っていた。

 昨秋は背番号1を背負った選手だった。しかし、その後、不運なケガに苦しんだ。

 正月が明けて、自転車で通学中に交通事故に遭った。事故のケガは重傷ではなかったが、病院に行くと他の箇所のケガが分かった。左肩の骨欠損。約2カ月半、投げることが出来ないほどの重傷だった。4月に復帰したが、今度はピッチャー返しを左膝に受けて骨折。めげずに椅子に座りながらネットスローを繰り返し、再度復帰したのは6月だった。

 エースと期待されていた。最後の夏にもらった背番号は「18」だった。

 心が折れずに野球を続けられたのは、支えてくれる人の言葉があったからだ。ナインの保護者には「背番号18でもお前がエースだから」と声をかけられた。仲間も「早く戻ってこいよ」と励ましてくれた。

 22日の交野との3回戦で復活登板し、7回7安打2失点。勝利したが「やっぱりもっと自分の投球がしたかった」と悔いは残っていた。迎えた23日の上宮太子との4回戦。登板機会は巡ってこなかった。

 「悔しいこともあったけど、高校野球で学べたのが大きい。あいさつ、礼儀を教えてもらったのが一番の思い出です」と試合後、3年間の高校野球生活を振り返った。

 卒業後は大学で野球を続ける決意だ。「1年から(レギュラー)を狙えるように」。目指すは背番号1だ。

【磯綾乃】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)