野球手帳

「まず1勝」東大・井手監督は基礎の積み重ねで挑戦

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正直な人なのだろう。東京6大学野球の東大が11日、今年の練習を開始した。恒例の根津神社への必勝祈願の後、井手峻監督(75)に話を聞いた。

19年12月7日、来季への決意を語る東大・井手監督(中央手前)
19年12月7日、来季への決意を語る東大・井手監督(中央手前)

まずは17年秋から続く42連敗を、どう止めるのか。元プロ野球選手ならではの策を期待したが、いきなり「ないと言っちゃ悪いですが」と言われ、ずっこけそうになった。

無策なのではない。現実的なのだ。「いろんなことを練習で詰めていくしかない。画期的には良くならないので」と続けた。何度も「難しい」と口にした。「野球はピッチングとバッティングが8割。でも、それが難しい。バッティングは感性がある。押しつけるわけにはいかない」。

前任の浜田一志監督とは対照的と言える。1年前、前監督は「創部100周年。100安打して、年間4勝、最下位脱出!」とぶち上げた。それに対し、新監督は「まず1勝」と控えめだった。練習中はグラウンドに仁王立ちするが、大声を出すことはない。あれこれ言わず、要所で気付いた点を指摘するだけだ。

そこに井手監督の味があるように感じた。「技術的に細かいことまで言ってます」。併殺プレーで二塁手はどう構えるか? 打球への足の運び幅は? スライディングの足の使い方は? 等々。「難しい」投打より、まずは「定説がある」守備、走塁の技術指導に力を入れる。練習冒頭では、その日のテーマも共有。「走者一、三塁で打球が一塁線に飛んだら、一塁走者は一塁手が一塁ベースを踏むか確認しながら走ること」といったように、具体的だ。新主将の笠原健吾内野手(3年=湘南)は「プレーの幅が広がりました」と目を輝かせた。

一足飛びではなく、基礎を重ねていく。67年に投手として中日入団。1勝の後、野手に転向した。投打でプロを経験したからこその慎重さかも知れない。「理解力はすごくある」と評する選手たちと、今年のスローガン「挑戦」そのものの101年目が始まった。【古川真弥】

 野球をこよなく愛する日刊スポーツの記者が、その醍醐味、勝負の厳しさ、時には心が和むようなエピソードなど、さまざまな話題を届けます。

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