東海大相模(神奈川)は、3番杉崎成輝内野手(3年)が1回の先制適時二塁打を含む3安打2打点で勝利に貢献。強力打線を中心に、45年ぶりの頂点をつかんだ。

 決勝戦の大舞台でも、杉崎はアグレッシブだった。初回1死二塁から、右中間を破る二塁打で勢いに乗せた。試合開始13球目の適時打だった。しかも1大会最多タイの6二塁打。「長打を狙うというよりも、とにかく塁に出ようとした結果でした」と笑顔を見せた。

 9回にも1死二塁から、遊安でダメ押し。「監督から(小笠原の)本塁打だけで終わるなと言われていた。リードしていても次の1点を狙っていけた」と3安打に胸を張った。

 ただ、3回の守備では相手の4連打を許すきっかけとなる悪送球で、一時は1点差まで追い上げられた。「秋の大会を思い出しました」と、冷や汗をかいた。昨秋の神奈川県大会。準決勝の平塚学園戦で、初回に悪送球で失点。延長戦の末、1-2で敗れてセンバツ出場権を逃した悪夢がよみがえった。

 今日は、5回にも2つ目の悪送球。「投げる瞬間に3回のエラーがよぎって」と悪送球。一方で結果的に、2エラーも成長を実感するミスとなった。「今までなら打撃に影響していた。秋に負けた試合は1安打だけ。今は、うまく切り替えることができます」。昨秋の悪夢は糧となった。ベンチに戻ってから門馬監督から「想定内だ」と言われたことでも楽になった。

 小笠原とは中学時代の湘南クラブボーイズから一緒にプレーしてきた。「2人で中心として、日本一になれた」と小笠原のほうに目をやり、やっと笑顔を見せた。今後は大学へ進学する予定。「中学、高校で日本一になれたので、大学でも日本一になりたい。もっとレベルを上げなければ」と次の目標を見据えていた。【高橋悟史】

 ◆1大会個人最多二塁打6 東海大相模・杉崎が記録。50年大久保英男(鳴門)、09年堂林翔太(中京大中京)に並ぶ最多タイ。

 ◆1大会チーム最多二塁打20の大会新 東海大相模が記録。83年PL学園(6試合)06年早実(7試合)08年大阪桐蔭(6試合)09年中京大中京(6試合)の4チームが6試合以上でマークした19本を5試合で上回った。

 ◆神奈川7度目V 神奈川県勢の夏の優勝は49年湘南、60年法政二、70年東海大相模、71年桐蔭学園、80年横浜、98年横浜に次いで17年ぶり7度目。7度は都道府県別の順位で(1)大阪12度(2)愛知8度に次ぎ、3位の東京、兵庫、和歌山、広島に並んだ。

 ◆最長ブランクV 東海大相模の45年ぶり優勝は、優勝→優勝の間隔で大会史上最長。過去最長は中京大中京(66→09年)の43年ぶり。