明石商(兵庫)の小柄な主将大西進太郎内野手(3年)が抜群の読みで、東邦(愛知)の今大会注目右腕藤嶋を攻略した。身長163センチの大西が輝いたのは、1点リードした7回1死二塁。前進守備の中堅手を越す適時二塁打を放ち、先発吉高を助ける2点目を刻んだ。

 変化球中心で前半5回を投げていた藤嶋を、大西は注視。見立ては「それまではにこやかにやっていたけれど、5回裏が終わった後のグラウンド整備で顔つきが変わった。後半は絶対直球で押してくる」だった。7回の打席は初球の直球を空振りし、狙い球を直球に変更。2球目はファウルで、決着がついたのはカウント2-2からの5球目だった。「変化球が来たらしょうがない」。三振覚悟で直球を狙った。読みは当たり、会心の結果がついてきた。

 昨夏は兵庫大会準決勝の神戸国際大付戦で、延長11回にサヨナラ本塁打を記録。決勝進出に導いた1発は、高校初アーチだった。依然、高校通算本塁打は練習試合を合わせても1本。当時の狭間監督の評価は「大西のホームランはまぐれだろうが、もともとセンスはいい」だった。2番遊撃が定位置の小さな好打者が、今後のキーマンになるかもしれない。