勝ったのに、痛い! 日本ウェルネス(東東京)が城西との2回戦を、延長11回の末にサヨナラ勝ちで制した。気温30度超の神宮球場で、選手が次々に足をつる事態に。サヨナラ打の瞬間は、打った選手も、ホームインした選手も、塁上に倒れ込んだ。満身創痍(そうい)ながら、勝利は勝利。しっかり休み、14日に第1シード・小山台に挑む。

 サヨナラのホームインで、日本ウェルネスの山崎聖太郎遊撃手(3年)は拳を突き上げ…なかった。様子がおかしい。立ち上がれない。歯を食いしばり、小さく悲鳴を上げる。喜ぶ仲間の顔も、次第に真顔になる。両足をつりながらの一塁からの激走で、チームに勝利をもたらした。

 サヨナラ打を打った白根太樹中堅手(3年)も足をつり、二塁上で動けなかった。仲間に両脇を抱えられて整列へ。かげろうが立つ神宮球場で、最後は9人中7人が足をつっていた。美斉津忠也監督(40)は「夏の大会は初めての子が多かった。初戦の緊張もあったはずです」と戦い抜いた選手をねぎらった。

 疲労の伏線もあった。相手・城西の中軸は1回戦で3本塁打。この日も3番・小林一生捕手(3年)が左翼へ今夏3本目を運んだ。強い打球に備え、遊撃の山崎はプロ並みに深い守備位置をとった。小林も「あんなに深く守られて、びっくりしました」と驚いたほど。内野の茶芝から10歩後方の外野の緑芝で守り、痛烈な打球やポテンヒットを防いだ。捕手の返球カバーで1球ごとに前後に駆け回った。運動量は多く、イニングごとにコップ3杯の水を飲んだ。

 試合終了から約30分、山崎はようやくまっすぐ立てるようになった。「4打席、全く打てていなかった。二塁を回った瞬間、絶対に行くと決めた。打てない分、絶対にホームへと思った。スライディングの直前から記憶がありません」と言い、持ち前の笑顔を見せた。横ではまだ、サヨナラ打の白根がマッサージを受けていた。痛くてうれしい夏の1日だった。【金子真仁】