第91回選抜高校野球(23日開幕、甲子園)に出場する札幌大谷が20日、滋賀・彦根市内で近江(滋賀)と、開幕前最後の練習試合を行い、3-9で敗れた。24日の1回戦米子東(鳥取)戦で先発最有力の右横手投げ太田流星(3年)は、新球シンカーを解禁し、3回1安打無失点と好投。19年の練習試合は計3試合に登板し、12回6安打1失点と抜群の安定感で、臨戦準備を整えた。

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太田が淡々とノルマを果たした。初回に1死一、二塁のピンチを招くと、近江4番有馬諒(3年)を、1ボール2ストライクと追い込み、最後は変化球でタイミングをずらし、中飛に打ち取った。16日の星稜との練習試合で、大会屈指の右腕奥川恭伸(3年)から2安打放った好打者を、あっさり抑えた。「最初に四球を出し安打も打たれましたけど、その後、しっかり抑えられたのは、自分の中では良かった」。重圧のかかる場面でも一切、崩れない精神的強さを証明した。

昨秋は、エースの西原健太(3年)との2枚看板で明治神宮大会を制したが、西原は和歌山合宿に入って以降、ボールのキレが上がらず、16日の南部戦に1イニング登板しただけ。打撃は好調で、主に野手として出場しており、24日米子東戦の先発マウンドは、太田にかかる期待が高い。船尾隆広監督(47)も「西原は少しずつ、良くなってくれたら。そういう状況なので、太田に安定感があって安心した」と口にした。

19年初の対外試合となった12日の箕島戦で初先発した際は3回無失点も「最後にバテた」と反省。降板後にランニングをして体力回復を試みると16日、上野戦で投球回を6回に伸ばし、7奪三振1失点と、さらに状態を上げた。この日は、冬場に研究した新球シンカーを、左打者限定で初めて投げた。「2、3球ですけど。まだ制球力が甘いですが、試合までに使える球にして、甲子園での投球に生かしたい」。段階を踏み、着々と仕上がってきた。

「体力的な部分も上がってきた。もし9回までとなっても、いける自信はある」。昨秋の公式戦被安打率4・37は、星稜・奥川、横浜・及川雅貴(3年)の好投手をしのぎ大会トップ。多彩な変化球を駆使して打者を翻弄(ほんろう)する技巧派の背番号17番が、万全の状態で聖地に立つ。【永野高輔】