新潟県王者・北越は日本航空石川に1-9で敗れ、初の決勝進出を逃した。

阿部柚士郎投手(2年)が初回1死一、二塁で4番嘉手刈(かてかる)浩太三塁手(2年)に中前適時打を浴びるなど序盤からリードを許す展開。その後、7回まで3失点と粘り強い投球を見せたが、8回に2ラン本塁打を打たれ、力尽きた。打線も日本航空石川の田中颯希投手(2年)から7安打を放つも、1得点と阿部を援護できなかった。21日の決勝は星稜-日本航空石川の同県対戦となった。

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北越の秋が終わった。9回2死、6番小林海翔二塁手の三振で試合終了。主将兼エースとしてチームの躍進を支えた阿部は目を赤く腫らし整列へと加わった。

先発の阿部に、初回から相手打線が襲いかかる。「強豪だと意識した。必要以上に力んでしまった」。被安打だけでなく、四球や暴投といった悪癖も顔を出し2回で3失点。「ロースコア勝負に持ち込みたかったんですけど」と序盤の投球を悔いた。

それでも3回以降は意地をみせ、粘った。7回以外、毎回で走者を許すが要所を締め、追加点は許さない。阿部を援護したい打線は安打は出るが得点は2回に奪った1点だけ。1-3で迎えた8回。2死二塁で阿部が1番石井幸希外野手に左越え2点本塁打を浴びた。痛すぎる失点。どんなピンチでも笑顔を絶やさなかったエースから笑顔が消えた。

その裏の攻撃ではアクシデントが阿部を襲った。一塁ゴロを放った阿部は一塁へ、ヘッドスライディング。セーフにはなるが、このプレーで右膝を負傷。マウンドを退き、9回の4失点をベンチから見守った。痛みを抱えながらもグラウンドのナインに声を飛ばし、主将として最後まで諦めない姿勢を貫いた。

「決勝で星稜を破って、甲子園出場」を掲げていた。この日の敗戦で星稜との対戦がかなわなかっただけでなく、さらなる悔しさも味わった。「日本航空石川のような相手にも勝てるチームにしたい」。北越の背番号1は、このままでは終わらない。【山岸章利】