王先輩、勝ったよ!早実(東京)が101年ぶりのリベンジだ。1924年(大13)第1回大会決勝以来となる高松商(香川)との再戦で、8-2と圧勝した。春夏通算3度目の対戦で初勝利。応援に駆けつけたOBのソフトバンク王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー(84)が見守る中、主将のエース中村心大(こうだい)が8回1失点に抑え、打っては4安打3打点で勝利へ貢献した。
◇ ◇ ◇
投げて打って、かつて聖地で躍動したレジェンドのように、早実の“令和のエース”が101年前に敗れた敵に雪辱した。初回から全力で左腕を振った中村は「割と飛ばしました」。ゆったりと力感のないフォームから伸びのある真っすぐを投げ込んだ。新たな武器も披露した。今冬で「精度を増した」というフォークと、カットボール。そして、開会式で隣に並ぶ横浜のエース奥村頼人投手(3年)から教わったチェンジアップをぶっつけ本番で披露し、緩急で幻惑した。
この日は、早実OBのソフトバンク王球団会長が、応援に駆けつけていた。57年センバツ。2年生ながらエースで4番としてチームを優勝に導いた大先輩だ。中村も2年生だった昨夏からエース番号を背負う。「憧れと言うには失礼なくらい偉大な先輩。恥じないプレーをしていきたい」と、背番号1に誇りを持つ。4回には自己最速を1キロ更新する146キロも記録した。「(スピード表示を)見ていました。うれしかったんですが、まだ出ると思っているので」。打っては甘い球を逃さず、4安打3打点。レジェンドのように投打二刀流の活躍で雪辱戦の主役になった。
高松商とは春夏合わせて3度目の対戦で、ようやく勝った。組み合わせが決まった直後のミーティングで、和泉実監督(62)が言った「101年前の試合で負けているんだ。ウチは挑戦者のつもりで挑もう」という言葉に、燃えた。実は、中村と香川県には深い縁がある。母由佳さんは、香川県小豆島出身。幼少時は毎年家族で訪れるのが楽しみだった。海や山を飛び回り、母の実家近くで野球の練習もした。今も香川県の名物「うどん」は大好物。「小さいころから、本当によくうどんを食べていました」と由佳さん。母特製のうどんでパワーアップして春を迎えた。
先輩たちの思いを背負って戦った2時間24分。中村は「受け継がれてきた伝統は自分たちも守らないといけない。その意識は持っています」。101年の歴史に背中を押されて戦った2時間24分。大先輩が57年に手にした紫紺の大旗を、再び取りに行く。【保坂淑子】
◆東京勢アベック勝利 二松学舎大付に次いで早実も初戦突破。センバツで東京勢2校が勝利は10年の日大三、帝京以来15年ぶり。
◆4元号春夏勝利 早実は令和のセンバツで初勝利。これで大正、昭和、平成、令和で春夏ともに勝利を挙げた。甲子園の4元号勝利は松商学園、高松商、広陵、広島商、北海、慶応もマークしているが、春夏ともに4元号勝利は広陵に次ぐ2校目。

