阪神先発の能見篤史投手(35)が極寒の0封ショーで開幕4戦目OKをアピールした。日本を襲った爆弾低気圧の影響で、5度まで気温が下がった甲子園での広島戦。時折、雪が舞う最悪のコンディションだったが、危なげなく5回を2安打無失点にまとめた。「いろんな球場があって状況も違う。いい意味で寒い中でも(投げられた)。でも(大)雪が降らなくて良かったよ」。これがプロ11年目35歳の貫禄。事もなげに笑ってみせた。

 絶好のツバメ退治リハーサルになった。開幕2カード目初戦のヤクルト戦先発が濃厚。3月31日の神宮でのナイターで、この日ほどではなくとも寒い天候が予想される。だがクレバーな男はしっかり寒冷仕様の投球テストを実行し、手応えをつかんでいた。

 「寒いから力まないように心掛けた。体の動きが力が入ると上ずってくるので」。力投派で12年の最多奪三振など代名詞は三振だ。だがこの日は打たせて取る投球にモデルチェンジした。わずか53球、9回に換算すれば95球の省エネ投法で2併殺を含む凡打の山。3個と少ない奪三振数こそ、テスト成功の証しだった。

 「当てとくわ」とジョークで内角攻めを予告していた昨季までの同僚新井との対決は、新井の欠場でお預けに。よほど残念だったのか、「寒いので出てこなかったようで」とまたパンチを見舞う余裕も見せた。「新外国人を見れてよかった」と2の0に抑えた4番グスマン対策も収穫。何よりオープン戦2試合9イニングの防御率0・00が充実ぶりを物語る。「(仕上がりは)6、7割ぐらい。もう少し暖かくなってくれば」。エンジンをかけるのはこれからと言うのだから頼もしい。【松井清員】