竜のミスターゼロが帰ってきた。一昨年の右肘手術からの完全復活を目指す中日吉見一起投手(30)が7回無失点で今季2勝目を挙げた。これで開幕から20イニング連続無失点。今季は登板後に出場選手登録の抹消を繰り返してきたが、次回から制限を解除。本格的に先発ローテ入りする。チームは月間最多タイの本拠地11勝目を挙げ、1位で並ぶ巨人、ヤクルトにゲーム差なしの3位と猛追だ。

 絶対的な安心感でチームを落ち着かせる。これがエースの仕事だ。吉見がまたゼロを並べた。開幕から20イニング連続無失点。先発3試合で1度も本塁を踏ませていない。「ゼロに抑えられたことが結果的には良かった。ピンチもありましたけど、そう焦ることはなかった。マウンドでは冷静にいれている」。試合後も淡々と話した。

 立ち上がりのピンチも顔色ひとつ変えなかった。1回、先頭山田の左翼線二塁打から1死三塁としたが、3番川端を外角フォークで空振り三振。続く4番雄平もスライダーで中飛。谷繁兼任監督が「吉見らしい。コントロールいいと思って見ていた」と、感嘆の声を上げるほどの制球だった。

 4回にはマウンドに足を取られてバランスを崩すアクシデントに見舞われた。直後、1死二塁から畠山に右前打を許したが、ライト藤井の好返球で本塁タッチアウト。味方の好守にも助けられてゼロ行進。毎回の9奪三振。7回無失点でマウンドを譲った。

 “鬼門”をあっさりと越えた。右肘手術明けの昨季は登板3試合目にして右肘の異常が発生。そのまま1軍に帰ることはなかった。それが今季は「見ての通り。健康に投げられている」と難なくクリアだ。開幕から登板→抹消を繰り返して登板間隔を10日間空けてきた。次戦はそのリミットを解除。5月1日からのDeNA3連戦(ナゴヤドーム)に登板する。

 「すべてを変える」が今季のテーマだ。オフには山本昌、岩瀬らが通う鳥取トレーニング施設を初めて訪れた。スパイクもグラブも変えてカット系の新球にも挑戦。5年連続2桁勝利の実績はもう過去のこと。帽子のツバには、打者ごとに気持ちを切り替えるという意味で「キャンセル」と書き込んだ。

 中日は本拠地ナゴヤドームでは無類の強さを誇り4月は月間11勝を挙げた。これは優勝した04年、10年の8月以来3度目の吉兆だ。谷繁監督は「ビジターでもこういう戦いをしないといけない」と引き締めた。簡単には転ばない。竜に太い柱が帰ってきた。【桝井聡】

 ▼今季の中日はナゴヤドームで12勝3敗(3月1勝、4月11勝3敗)。同球場で月間11勝は04年8月と10年8月に並ぶ最多となった。04年は同球場で43勝22敗(勝率6割6分2厘)、10年は51勝17敗1分け(同7割5分)と本拠地の高勝率をリーグ優勝に結びつけたが、今季はどうか。