悔しさをかみ殺しながら、打球が弾んだ左翼スタンドを見つめた。2点リードの9回にマウンドを託された、楽天松井裕樹投手(19)が投じたこの日12球目。外の144キロ直球を、ロッテの9番荻野に捉えられた。高々と上がった打球が一気にスタンドイン。「今日は真っすぐが悪くて、最後は投げる球がなくなった」。開幕から続けてきた13試合16イニングの連続無失点記録が、ついに止まった。
簡単に2死を奪った直後の今季初失点。流れは相手に傾きかけ、次打者の清田には左前打を浴びた。それでも「先輩方が声をかけてくれた。勝ちゲームを締めるのが自分の役割」と集中を切らさず、嶋のミットだけを見て左腕を振った。最後の鈴木を一塁ライナーに打ち取り「勝てたので良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
失点しながらも後続を抑え、今季8セーブ目を挙げた。大久保監督は「普通ならもう1、2点取られてもおかしくない場面。それを抑えたんだから」と守護神の踏ん張りをたたえる。ゼロ神話は崩れたが、チームの勝利は死守した。まだ19歳。高村投手コーチは「そりゃいつか点は取られるさ。だけど打たれた反省が引き出しを増やし、投手としてのレベルを上げていく」と、苦い経験が財産になることを確信している。
この日の内容については、他の誰よりも当の松井裕本人が納得していない。「明日も試合がある。もう、(点を)取られません」と唇を真横に結んだ。無失点記録は止まった。それでも、自身の進化を止めるつもりはない。【松本岳志】



