首位打者を争う西武秋山翔吾外野手(27)が自身初の1試合2本塁打で巨人を沈めた。初回に今季3本目となる先頭打者弾。1点差に追い上げられた7回には左腕戸根のカーブを技ありで5号ソロをたたき込み、リードを広げた。クリーンアップには3番浅村、4番中村、5番森の大阪桐蔭トリオを初結成し、3回には森が押し出し四球を選んだ。前夜の大敗から獅子が息を吹き返した。

 味わったことのない感覚だった。ヒットを量産する秋山がこの夜は1発を量産した。初回、巨人大竹に対し、フルカウントまで粘り、甘く入った直球を完璧に仕留めた。今季3本目の先頭打者弾で前夜11失点の大敗の重い余韻を吹き飛ばした。「四球でもいいから出塁することを考えていた。勢いをつけたかった」。黄金時代の秋山前ソフトバンク監督のように、現代の西武のバットマン秋山が主導権をチームにもたらせた。

 2本目は、さらに未体験の感触だった。7回。左腕戸根にフルカウントからカーブに対し、一瞬、体を止めてタイミングの余白を埋めて右翼席に運んだ。自身初の1試合2発に「もう少し若いカウントで振りたい球を打ちに行ってなら分かるんだけど…」。意図していない球に反応したが、弾道は鋭く、雄々しかった。

 子供のころ、低く鋭い弾道に憧れた。打球の主は00年代に巨人の1番を張った清水現打撃コーチだった。「父が巨人ファンだったので東京ドームにも来ました。清水さんの低いライナーの打球がすごいなと思ったんです」。好きな選手は高橋由だった。だが目指すべき指針を与えてくれたのは、この日、相手ベンチにいた清水コーチ。目前で理想の弾道を披露した。

 今季から打撃を改良し、長打への欲を捨てたはずだった。だが既に昨季の3本塁打を上回り、年間14・9本ペース。「今までマン振りしないとホームランにならないと思っていたのに、力みがなくても飛ぶんだなと。形、タイミングがしっかり取れれば長打になると実感している」。打率も3割4分8厘と高いレベルを維持し、年間217安打ペース。秋山が獅子の刃となり、先制攻撃を加える。【広重竜太郎】