日本ハム栗山英樹監督(54)が、乱調の若手右腕に試練を課した。ヤクルト戦に先発した上沢直之投手(21)が初回に3失点、5回には2者連続押し出しを含む5四死球と制球を乱し2失点。精彩を欠く内容にも、6回途中まで続投を選択。今後を見据え厳しい姿勢で奮起を促した。チームは終盤の追い上げ実らず、交流戦初黒星を喫した。

 微動だにしない。栗山監督は腕を組んだまま、その場で仁王立ちした。上沢が5回に2者連続の押し出し四球。1イニング5与四死球で5点目を失ったが、それでも選択したのは、続投だった。「球は悪くなかったんでね。いろいろな巡り合わせもある。次につなげてくれればいい。明日からちゃんとやります」。試合後、指揮官は立ち止まることなく、球場を後にした。

 5回2/3で降板したが、投じた球数は136。今季の投手陣で最多の数だ。多くは語らなかったが、栗山監督の真意は、ローテの軸として成長してもらうための試練だ。昨年は初登板初勝利を含む8勝を挙げた上沢だが、実質2年目の今季はここまで3勝5敗と苦しんでいる。この日も5回までに許した安打はたったの3本。うち2本が内野安打と抑えていながら、7与四死球に自らの失策と完全な自滅だ。「みなさんに申し訳ないです。制球できなかった。全部、僕の責任です」。187センチの大きな体が、小さく見える。

 8試合の登板のうち、6試合がイニング途中での降板。厚沢投手コーチは「悪ければ代えてもらえるという考えを変えて欲しい。いかにリリーフに助けてもらっているか…。マウンドを降りるのは簡単」。精神的な強さを植え付けるために、首脳陣は上沢と“心中”する覚悟を決めて、この日の一戦に臨んでいた。

 登録は抹消せず、次回も1軍で登板する予定。「荒療治」が実を結べば、この日の1敗も無駄にはならない。【本間翼】