また阪神岩田稔投手(31)が連敗を止めた。セ・パ交流戦のラストマッチ。雨中のマウンドでもテンポよく投じ、大量援護にも恵まれた。プロ最多タイ140球の力投で4失点完投。チームトップの5勝目はプロ通算50勝目。3連敗で止めた5月5日の中日戦、同13日ヤクルト戦に続き、連敗ストップの価値ある白星だ。

 岩田はベンチ裏で取材を受けた後、両足のスパイク裏をチラリと披露した。泥で刃先が隠れそうなドロドロ具合。最後は強い雨に苦戦し、4失点完投勝利にも苦笑いを浮かべた。

 「最後はバタバタしたんですっきりしないですけど…。勝てて良かったです」

 4回終了時点で9点リードをもらっていた。8回の1失点、9回の2失点を反省しながらも、脱力投法への手応えは隠さなかった。「全然(9回まで)投げる気でいた。球数の割には疲れていなかった。いい投げ方ができていたんだと思う」。プロ10年目で自身最多タイの140球を投げ、チームトップの今季5勝目を手にした。

 「最近ゲッツーを取れていなかった。中田翔から取れたのは良かったです」

 3点リードの4回だ。先頭から不運な当たりの2連打を浴び、無死一、三塁。大阪桐蔭の後輩でもある4番中田に外角低めツーシームを投じ、注文通りの遊ゴロ併殺打に仕留めた。ムービングボールでゴロを打たせる-。最大の持ち味を再認識した瞬間だった。

 「オマエはいいよな。ストライクゾーンの中で勝手にボールが動いてくれるんだから」

 尊敬する藤川球児の何げない一言が宝物だ。この6月、四国IL・高知に移籍した先輩は09年WBCでもチームメート。阪神時代はもちろん、メジャー挑戦後に米国で食事した時にも何度となくうらやましがられた。「球児さんは本当にすごい人」。誰もが憧れる「火の玉」直球の持ち主でさえ、興味を抱く武器がある。ひそかな自信を胸にこの日、通算50勝を記録した。

 「うれしいですけど、もうちょっと早く(50勝)できたかな、と…」

 最後まで充実感を味わうそぶりを見せなかった。「それは気にしていない」と受け流したが、チームの連敗を4で止めた功績は大きい。リーグ戦再開後は23日広島戦(長野)で再スタートを切る予定。最後に勝ち越しを決めた交流戦18試合。岩田の楽天戦完封から始まり、岩田の完投で幕を閉じた。【佐井陽介】