黒田、仇(かたき)は討ったけえの。広島打線が爆発し、ルーキー薮田にプロ初登板初勝利をプレゼントした。6連打などで6得点を奪った6回は緒方孝市監督(46)の采配が光った。バスターあり、足技ありで揺さぶり、選手は采配に応えた。7月白星発進で借金も再び4。コイの逆襲が始まる。
ベンチの奥で、目が光った。緒方監督は立ち上がってタクトを振るっていた。目つきは鋭いが、表情は開幕直後に比べると心なしか柔らかい。勝負師は達観したように、ブロックサインを出していた。同点の6回の鮮やかな集中打。足を絡めて巨人杉内をKOし、ルーキー薮田を援護。選手もサインに応えた。
緒方監督 初登板のルーキー薮田をきちっと援護してくれた。よく点を取ってくれた。ただまあ…。反省するところは反省して。細かいミスはあったのでね。
ミスが目についたのだろう。満面の笑みはなく、自らに言い聞かせるように、勝ってかぶとの緒を締めた。ただ戦術で杉内を崩したのは明らかだった。6回無死一、二塁で打席に会沢。バントの構えをさせ、けん制球を挟む間にもバットを寝かせていた。一塁・阿部が前進し、二塁・立岡は一、二塁間寄りを守っている。初球だった。バスターのサインに会沢が応え、打球は二遊間を抜けた。貴重な勝ち越し適時打だった。
会沢 何とかつなぐ意識でいきました。間を抜けてくれてよかったです。
流れが傾くと、一気に安打が続く。打者10人を送り込み、適時打4本を含む6連打。押し出しに犠飛も絡んで6点を奪った。ここまで好機をつくりながら得点を奪えなかった巨人杉内をKO。何より前日6月30日に1点しか取れず、黒田がサヨナラ負けを喫したショックを吹き飛ばした。ルーキーに初白星までつけた。
緒方監督 昨日の嫌な負け方があったからね。7月は白星スタートになったので、明日勝って(カード)勝ち越したいと思います。
負けて多くを語らず、勝って選手をたたえてきた。遠征先のホテルでも外出はほとんどせず、スコアラーからの情報分析に努める。熱い指揮官のタクトに、選手も食らいついていった。借金は再び4。広島が上がってくる。これから混セをさらにおもしろくする。【池本泰尚】



