広島は1勝に代償を支払うことになるかもしれない。黒田博樹投手(40)が打球を右手に受け、試合中に病院で診察を受けた。あらためて31日に広島市内の病院で専門医による精密検査を受けることが決定。当初3カード続く遠征には同行予定だったが、チームを離れ広島に戻ることになった。

 本能だった。同点に追い付かれてなお4回1死二塁。バルディリスの打球に、右手を出した。手首付近を直撃。打球は左前を転々とし、勝ち越しの二塁走者が生還した。18日の中日戦と同じように打球を右手で止めに行った。それでも続投を志願し、連続三振で乗り切った。

 違和感は5回表のキャッチボール段階であった。マウンドに上がるも、投手の砂田を三ゴロに打ち取った後に交代が告げられた。診察を受け宿舎に戻ったとき、右手は固定されずにアイシングが施された。「トレーナーに聞いて。僕は分からない」。表情にはうっすら笑みを浮かべる余裕がまだあった。最悪の場合、今季3度目の登録抹消の可能性もある。【前原淳】