試合開始1分後、澄み切った青空にアーチを懸けた。4時間前の出来事が遠い昔のようだ。もう空は夕焼け。阪神鳥谷敬内野手(34)は薄暗い駐車場を歩きながら自らを責めた。
「あれはミスです」
2点リードの3回1死、2番倉本の三遊間ゴロにチャージするも、一塁送球が本塁側にそれた。一塁手ゴメスの懸命なタッチはわずかに届かず、失策が記録された。ストライク送球でも間一髪のタイミングだったが、名手だからハードルは高くなる。ここから能見は3番梶谷に右前打、4番筒香に逆転の右越え3ランを浴びた。ミスから流れを明け渡す形となり、「結果からしたら、そうじゃないですか」と再び自戒した。
1番打者として滑り出しは最高だった。1回、1ストライクからの2球目、井納の内角スライダーを右翼席まで運んだ。8月16日ヤクルト戦(神宮)で先頭打者弾を放って以来の1発となる6号ソロ。「とにかく出塁することを第一に考えていたのが、いい結果につながったんだと思います」。試合中のコメントにも手ごたえがにじみ出ていた。
同点とされた直後の3回は先頭で右翼フェンス直撃の単打を放ち、この回2得点の勝ち越し劇を呼び込んだ。ここ3試合連続ノーヒットがウソのように5打席4出塁と機能。ただ、チームはDeNA相手に痛恨の2連敗を喫した。
8回裏の守備中には一塁走者に右足を削られる場面もあったが、高代作戦兼内野守備走塁コーチは「大丈夫」ときっぱり。今こそキャプテンの底力に期待がかかる。勝ち続けるしかない-。試合後、鳥谷の厳しい表情から強い覚悟が見て取れた。【佐井陽介】
▼阪神鳥谷の初回先頭打者本塁打は、今季8月16日ヤクルト戦(神宮)で石山から放って以来、通算6本目となった。プロ4年目の07年4月15日横浜戦(甲子園)で工藤(現ソフトバンク監督)から左翼へ運んだのが1本目。その後はいずれも敵地で右翼へ放っている。07年、10年、今季とそれぞれ2本ずつとなった。



