虎の背中、見えました! 広島が3位阪神に勝ち、1・5ゲーム差とした。緒方孝市監督(46)は、5回の遊撃内安打の判定を巡って一塁塁審に抗議してナインを奮い立たせた。数々のピンチはあったが、中継ぎエースの大瀬良が踏ん張るなどして、接戦を制した。打線も11安打5得点。残り6試合でまくってみせる。
新井とジョンソンが両手を広げた。緒方監督が飛び出す。5回1死。阪神鳥谷が放った三遊間へのゴロだった。田中が回り込んで捕球し、一塁へハーフバウンドの送球。一塁手新井は難しいハーフバウンドに体を張って捕った。微妙なタイミングも、判定はセーフ。指揮官は身ぶり手ぶりで、約2分間の抗議に出た。
指揮官の熱さに球場のボルテージは上がった。判定は覆らないが、呼応するように先発ジョンソンの投球は粘度を増し、野手陣も安心感が生まれて好プレーが出た。負ければクライマックス・シリーズ(CS)へ進出する可能性が極めて低くなる3位阪神との直接対決3連戦。2勝1敗で1・5ゲーム差とし、虎の背中をとらえた。試合後、指揮官は変わらず、冷静に選手をたたえた。
「優勝はなくなってしまったんだけど、選手はこうやって最後まで諦めないんだ、という気持ちを本当に出してくれている。絶対に勝つんだという姿勢を見せて戦ってくれている」
危機は何度もあった。1点リードの8回は大瀬良が無死満塁のピンチを背負った。7回1死一、二塁から登板したリリーフエースの2イニング目だった。指揮官はベンチの端で微動だにしない。ナイター照明が点灯すると、大瀬良にもスイッチが入った。気合満点の無失点投球。するとその裏に成長著しい田中が、右翼へダメ押しの2点適時三塁打を放った。ピンチの後の好機を逃さなかった。
「またイニングまたぎをさせてしまったけど。彼しかいない。よく投げてくれた」。託した選手を信頼し、心中する覚悟で戦ってきた。残り6試合も明日なき戦いは変わらない。まずは12連戦の残り2試合を総動員で勝つ。逆転CSへ機運は高まっている。あとはやるだけだ。【池本泰尚】



