広島前田健太投手(27)が7回6安打1失点でハーラー単独トップ15勝目を挙げた。これで10年以来5年ぶりとなる最多勝をほぼ手中に収めた。打っても3回に、7年ぶりのプロ2号となる決勝2ランを左翼スタンドに放り込んだ。3位阪神とは0・5ゲーム差に縮まり、クライマックスシリーズ(CS)進出へ望みをつないだ。

 一塁を蹴ったところで、前田は叫んだ。三塁を回る直前には、自らに拍手を送るように手をたたいた。両チーム無得点で迎えた3回1死二塁。中日若松の外角チェンジアップに手を伸ばした。打球は前進守備の左翼手のはるか頭上を越え、左翼スタンドに着弾。球場は総立ちでエースのホームインを見届けた。

 「初球からチェンジアップを狙っていた。絶対決め球が来ると思っていたので。本塁打になるとは思っていませんでしたけどね」

 旧広島市民球場の最終戦だった08年9月28日ヤクルト戦以来のプロ2号は、鮮やかな決勝本塁打だった。愛用するピンクのマスコットバットは特注品。キャンプ中には日本ハム大谷と柵越えの数を勝負した。結果は「教えません」といたずらっぽく笑ったが「本当はもっと打ちたいんですけどね」と笑うほど打撃意識は高い。お立ち台恒例のプレゼントTシャツには、本塁打を放つ絵を描き込んだ。

 獅子奮迅だった。「調子は良くなかった。(大瀬良)大地とザキ(中崎)に助けてもらった」と苦い顔だったが、投げてもさすがの7回6安打1失点。自己最多に並ぶ15勝目で、10年以来2度目の最多勝をほぼ手中に収めた。さらに5回の先頭藤井を左飛に打ち取り、史上169人目の1500投球回も達成した。

 「意識して、取るものは取る。チーム状況も勝つしかない状況なので、それがプラスになったと思う」

 106球で降板し、中4日で7日の中日戦(マツダスタジアム)での登板に可能性を残した。力投でチームは5連勝。緒方監督も「投打にマエケンでしょう。大したものだ」とたたえた。エースは最後にファンに誓った。「奇跡は信じないと起きない。勝てると信じたチームが勝つ」。3位阪神と0・5ゲーム差。風は確かに吹いている。【池本泰尚】

 ▼通算1500投球回=前田(広島) 2日の中日24回戦(マツダスタジアム)の5回、藤井を左飛に打ち取って達成。プロ野球169人目。初投球回は08年4月5日の横浜2回戦(広島)。