さあ、日本シリーズまであと1勝だ。ヤクルト館山昌平投手(34)が、6回4安打無失点の好投でチームを2連勝に導いた。3回を除き、毎回走者を背負いながらも粘りの投球で試合をつくると、6回に挙げた2点をリリーフ陣が守り切った。巨人に快勝し、アドバンテージを含め通算成績を3勝1敗とした。今日17日の第4戦で勝つか引き分ければ、01年以来14年ぶりの日本シリーズ進出が決まる。

 「カーン」という鈍い音が球場内に響いた。館山の右くるぶし付近を痛烈な打球が襲った。0-0の6回1死一塁。長野のピッチャー返しに「グラブでは間に合わない」と右足に当て遊撃方向へそらし、併殺打に。「絶対に先制点は与えられない。センター前のヒットとゲッツーでは大きな違い」とこの日初めてガッツポーズを決めた。直後に、味方打線が先制点。館山の執念が、勝利を呼び込んだ。

 3回以外は、毎回走者を背負う展開だった。「最初から飛ばすことしか考えてなかった。巨人相手にいいピッチングができると思っていなかった」とがむしゃらに立ち向かった。3度目の右肘靱帯(じんたい)再建手術から今季復帰して6勝を挙げたが、巨人には2試合で防御率7・84と唯一打ち込まれていた。「リハビリを思えばこの位置で戦えることは最上級のこと。(日本一までの)通過点に参加できたことはうれしい」と、大一番で6回0点に封じ込めた。

 先輩の言葉が、日本シリーズを目指すエネルギーとなった。今季限りで引退を表明した中日山本昌氏は、日大藤沢の先輩でもあり、ことあるごとにアドバイスをくれた恩人でもあった。14日の試合前練習時、テレビの解説で神宮を訪れていた山本氏から「しっかり頑張れよ」と言われた。多くを話すことはできなかったが、その一言だけで力は自然とわいた。「大先輩すぎて目標とは言えないが、近づけるようにしたい」。そんな思いもあったからこそ、足の痛みにうろたえている暇などなかった。

 2勝1敗で迎えた1戦。負ければ、振り出しに戻っていた。魂の92球で日本シリーズ王手へ導いた。今日の試合に引き分け以上で、日本シリーズ進出が決まる。お立ち台で、声援を送ってくれたファンに誓った。「あと1つ。今日と同じ気持ちで、全力でいきたい」と仲間に託した。リーグ王者の慢心はない。負けられない、気持ちだけでぶつかっていく。【栗田尚樹】

 ▼ヤクルトは第2戦に続いて完封勝ち。プレーオフ、CSで2試合連続完封勝ちは10年ファイナルS第1、第2戦中日に次いで2度目だ(他に14年1S阪神が0-0引き分けを含め2試合連続無失点)。今年の公式戦でヤクルトの先発投手は53勝55敗で、防御率はリーグ5位の3・68だったが、CSでは2勝1敗、防御率0・95。先発投手の失点は第1戦で石川が坂本に打たれた2ランだけで、先発投手はまだ適時安打を1本も許していない。これで第1戦の7回からは21回連続無失点。14年1S第1戦~ファイナルS第1戦阪神がマークした27回連続無失点の記録にどこまで迫れるか。