日本ハム有原航平投手(23)が今季初白星をつかんだ。開幕カード2連敗で迎えた3戦目の27日ロッテ戦(QVCマリン)に先発。最速153キロの直球と多彩な変化球で8回を6安打無失点。実績ある宮西、谷元らが不在とセットアッパーが手薄な中、守護神増井との完封リレーでチームの連敗を止めた。ルーキーイヤーの昨季は右肘の不安から5月デビューも、8勝6敗でパ・リーグ新人王に輝いた。先発の柱と期待される今季、開幕カードの3戦目を任され、最高の結果を残した。

 窮地にあったチームを救った。有原は、背負う使命に突き動かされた。「絶対に負けられなかった」。エース大谷を崩され、2連敗で迎えた、プロ入り初の開幕カード登板。8回無失点で、チームの連敗を止める価値ある白星を呼び込んだ。ヒーローインタビューで、あらためて強い覚悟をかみしめた。「3連敗だけは絶対にしてはいけないと思っていました」。頼もしい背中を、西日が赤く照らしていた。

 大舞台を粋に感じ、力を解き放った。プロ入り後の最速154キロに迫る153キロ直球を軸に、強打者ぞろいの打線を攻めた。序盤は高めに浮くボールもあったが、中盤以降に修正。警戒していた主砲デスパイネには強気に内角を突いた。昨季クライマックス・シリーズのファーストステージ第2戦。決勝ソロを浴びた因縁の相手を、単打2本に封じた。「何とか抑えようと思った」。バックが3併殺と、好守にももり立てられ、要所を締める被安打6の粘投。1点リードを守りきった。

 昨年とは何もかも違った。右肘の不安を抱えて入団した1年目、デビューは5月にずれ込んだ。不安なプロスタートに付き添っていたのが、木目調のシンプルな数珠だった。

 広陵1年だった08年に右足を4度続けて疲労骨折。見かねた母紀美さん(50)が、地元・広島の廿日市市民の多くが健康を祈願する正覚院で購入し、授けてくれた。以降、紀美さんは毎年、数珠を新調するため、節分の日に合わせ、参拝してきた。樹齢1300年の鎮守のクスノキを見上げながら、116段のうねる階段を毎年、同じ日に上がる母。その事実を知った有原は「(寺院が)どこにあるかもわからない。びっくりした」。息子の健康を祈り続ける母へ、たくましさを増した姿を、16年初登板で披露した。

 勝利の瞬間、栗山監督から肩を抱かれた。「ナイスピッチ。ありがとう」と声を掛けられると、固く結んでいた口元を緩め、控えめに笑った。チームにも、自身にも、大きな今季初勝利。「この時期に投げられるのがうれしい。チームのために頑張っていきたい」。試行錯誤、手探り状態だった昨年とは違う。有原は力強く、2年目の1歩を踏み出した。【田中彩友美】

 ▼有原の無失点ピッチングは、昨年7月29日9-0オリックス(ほっともっと神戸)で7回を被安打6、同9月5日7-0オリックス(ほっともっと神戸)で9回を被安打4と好投して以来3試合目となる。9月5日オリックス戦は初完投初完封だった。通算19試合登板で、8イニング以上投げたのは4試合目。

 ◆有原の15年VTR 8勝6敗、防御率4・79でパ・リーグ新人王に輝いた。広陵時代から悩まされていた右肘痛もあり、初登板は5月15日オリックス戦と遅れたが、以後はローテーションの一角を守り、18試合に先発登板。103回1/3を投げて、暴投2、与四死球35(1試合平均3・05)と、ルーキーながら安定した制球ぶりだった。