大人の投球で3勝目だ。楽天塩見貴洋投手(27)が「日本生命セ・パ交流戦」の中日戦に先発。敵地のマウンドでも動じず、変化球を丹念に散らすスタイルで的を絞らせず、6回1失点でカード頭の白星を運んだ。鋭いクロスファイアを代名詞にプロの門をたたいて6年目。対となる変化球を手中に収め、投球にグッと幅が出た。則本に続く柱になる。
冷静だった。中日の1回先頭は大島。二ゴロに抑えたマウンドの塩見は「直球があまり走っていない」と感じた。クロスファイアは厳しく入れることに徹する。ストライク先行。「変化球を低めに集める。1球1球大切に。気持ちで負けない」と、投球の方針を固めた。
立ち上がり早々の見極めが吉と出た。追い込んでからの縦。相手の膝から下へ、徹底的に集めた。ときにまぶすカーブも相手を惑わせる。「塩見はフォークとスプリットを状況に応じて使い分けている。しかもコントロールできる」。新人時代から知る小山投手コーチが、左腕の細やかなテクニックを明かした。6回を被安打3、1失点の好投は7回、自身の代打銀次のタイムリーで報われた。
味のある投手になった。プロ1年目の11年は9勝。140キロ台後半のクロスファイアで押し込むスタイルだった。新人王は西武牧田に譲るも、優秀新人賞をゲットした。当時の星野監督(現副会長)は、1年目の塩見を見守るだけだった。サウスポーに楽天の屋台骨を支える資質を感じ、大きく育てようと考えた。
秋のキャンプ。直球を禁じ、対となる変化球だけを命じた。「クロスファイアはいいモノを持ってる。課題は逆方向の球。チェンジアップ、シュート系の球種がないことだ。本番でもあの精度で投げることが出来れば、使える。完全にマスターすれば15勝だってできる」と話していた。
歳月は流れた。故障もあった。遠回りではなかった。中日先発のジョーダンは塩見と同じサウスポー。球速は平均で5キロほど劣るも、変化球の精度に一日の長があり、投手戦を制した。「カードの頭を取れたのは、いいことだと思う。まず借金を早く返す。1戦1戦、大事に」。投球同様、コメントにも主戦投手らしさがにじみ出た。左の軸になる。【宮下敬至】



