広島の丸佳浩外野手(27)が球宴初アーチをかけ、首位を走るチームの勢いを見せつけた。3回2死。全パの塚原から右翼ポール際へのソロ。ファン投票で出場したファンからの期待にバットで応えた。試合は引き分けに終わったが、菊池も美技を披露するなど、広島の誇る選手らは輝きを放った。

 しばらくその場でたたずんでいた。全セ丸は内角のツーシームに反応した。腕を抜くようなフルスイング。放たれた巨大な放物線は右翼ポール際で消えていった。フェアか、ファウルか。着弾の直前に本塁打を確信すると、ニヤリと笑ってバットを離した。小さくガッツポーズし、満面の笑みでダイヤモンドを回った。

 「びっくりしました。もう満足です。ただ今年一番の会心の当たりをもってしても、場外に運べない。それが心残りですね」

 ファン投票で選出され「これっきりでいいから打ってみたい。運に任せます」と願っていた1発。「神」を振り向かせた。3回2死。1ストライクから2球目。「僕は神れないので。普通に」。試合前には笑わせていたが、鈴木に負けないインパクトだった。

 リーグ戦で広島は首位を独走中。ビッグレッドマシンガンと呼ばれる打線は、チームワークも抜群だ。試合前には新井、菊池、鈴木、丸がそろった。報道陣に囲まれると兄貴分の新井が意地悪そうに話し始めた。

 菊池 新井さんが僕をいじるので、僕と丸が誠也をいじるんです。

 新井 最近は誠也があいさつしてくれないし、サインもしてくれない。これはまずい兆候。キクと丸にしっかり教育してもらわないと。

 丸 僕たちは新井さんについていきます。

 鈴木 勘弁してください…。

 丸が夢をかなえた1発には、前日新井とラーメンをすすった野村を含め、一塁側ベンチが大喜び。鈴木がとけ込めるように徹した菊池も、乗せられるように守備で魅了した。9回に一、二塁間への痛烈なゴロに飛びついた。勢いのまま回転し、二塁へ転送。球場を沸かせた。躍動する後輩に新井は「自分のことのようにうれしい。また後半も一丸で戦いたい」と目尻を下げた。広島は強い。その要因を見せつけた2日間だった。【池本泰尚】