ヒーローは、ウル虎のタイガだ。阪神江越大賀外野手(23)が4回、決勝となる先制6号ソロ。左中間へ推定120メートルのアーチをかけ、勝利の突破口を開いた。鳥谷をスタメンから外す左腕バルデス攻略オーダーを組んだ金本監督の期待に応えた。イベントでウルトラマンも駆けつけた京セラドーム大阪で8月限定ながら10連勝となった。

 ポーンと投げられ宙を舞うバットに、江越の自信が詰まっていた。4回先頭。左腕バルデスが投じたのはロックオンしていた緩い変化球。思い切り体をねじり、バットをぶつけた。6号ソロ弾。専売特許のフルスイングで先制パンチを浴びせた。

 「感触はまあまあでした。孝介さんからねらい球を絞ってと言われていたので、しっかり絞っていきました」

 バルデスとは今季初対戦だが、昨年6試合(1勝1敗)で防御率1・95に抑え込まれた天敵。3回までチームは無安打。不穏なムードがドームを包んでいた。そんな流れを一振りでなぎ払う値千金弾。江越が本塁打した試合は、チームは10勝1敗。神話と言っても過言ではない勝率を誇る。一緒にお立ち台に登った福留も、若虎の一打を「まあまあですね」とちゃめっ気たっぷりに称賛しながらも、「でも、もうちょっと飛ぶんじゃないですか彼は」と秘めたるポテンシャルの高さに期待を寄せた。

 背番号25の成長を楽しみにしているのはチームメートだけではない。球界のスターたちも温かく見守っており、その内の1人がソフトバンク柳田だ。フルスイングが代名詞のスラッガーは、江越も「目指す選手の1人」と話す一流選手。トリプルスリーを志す江越の“先輩”は、先月行われたオールスターの舞台で、楽しみな選手の1人として江越にエールを送っていた。

 柳田 自分も最初はすごい三振が多かった。気にせずどんどん振って欲しい。いい選手だし、(今のスタイルを)変えることなくやって欲しいっすね。

 トップ選手もほれ込む潜在能力の高さ。江越がスターの仲間入りをし、共演する日が来るのもそう遠くはないかもしれない。

 広島から移動して臨んだこの日の試合前、早出特打に参加し、金本監督から指導を受けた。「練習でやっていることが少しずつですけど出ていると思うので。そのまま続けていきたいですね」。超変革の象徴である若虎たちは、1歩ずつ着実に、スターへの階段を上っている。【梶本長之】