阪神2番大和が突破口を開いた。9回に先頭打者で登場。この日初めて左打席に立ち、右腕パットンの直球を左前に流し打った。「左(打席)に関しては、三振したら、もったいない。何とかバットに当てなければ、と積極的にいった」。この一打で流れが自軍に傾いた。福留のタイムリーで本塁を踏んだ。

 守備のミスが目立つチームにあって、その存在は貴重だ。12日のDeNA戦では中継プレーで強肩を発揮し、ピンチを防いだ。金本監督は左腕対策に大和の起用を決断。2番二塁で今季初スタメンのチャンスを得た。初回には送りバントが相手のエラーを誘った。3回には遊撃への内野安打。ラッキーボーイ的な活躍に、指揮官も思わず笑った。「2回ね、出塁して。1回のバントはアレ(失策)だけど、まさかの2安打。最後のヒットもナイスヒットだし」。正二塁手の上本が右足首の捻挫でベンチスタートが続く。その代役を見事に果たした。

 活躍の場を広げるため、オフから両打ちに挑戦。すでに左打席で安打を放っていたが、この日は両打席で快音を響かせ、今季初のマルチ安打を記録した。両打ち冥利(みょうり)に尽きるか、と問われ、穏やかな表情で返した。「結果が出れば、ですね。任された場所でしっかりとやるだけです」。仕事場は確かに広がった。【田口真一郎】