開演まもなく、曇り空の神宮にアーチを描いた。巨人岡本和真内野手(23)が13試合ぶりとなる16号先制2ランでチームを5連勝に導いた。

1回2死一塁。2ボールからヤクルト高梨の真ん中142キロ直球を、やや小さめのテークバックで捉えた。「昨日からいい感じだったので『無』でいきました」。抜群の手応えに両手でバットを握ったまま、1歩、2歩と進んだ。中堅右へ放り込み、ベンチでは「よっしゃ! 和真!」と声を張る原監督と右拳を合わせ、阿部からは脱帽で迎えられた。

宴に浸る余裕はなかった。交流戦明けから前半戦終了までの11試合で打率1割6分2厘、本塁打と打点は0と低迷。球宴に2年連続出場も、東京ドームでの第1戦前日には「結果が出てないので明日はドームのロッカー裏の室内でマシン打撃で特打してから臨みます」と口にするほどだった。

復調へのヒントを探した。本拠地のグラウンドに降りると、真っ先に広島鈴木に近寄った。事前に準備した質問をぶつけ、打席でのボールの待ち方、スイングの意識などを学んだ。「引き出しも増えましたし、頭も心もスッキリしました」。球宴明けは2戦連続マルチ安打。自身の感覚に好打者のエキスを垂らし、結果に結びつけた。

原監督も「3試合に1回くらい見たいね。かなり空いてるよ」と笑いながらも“球宴効果”を喜んだ。岡本の昨年8月の月間打率は3割4分。月別最多の8本塁打、28打点と打ちまくった。18日にも優勝マジックが点灯。梅雨を抜ければ「お祭り男」の季節がやってくる。【桑原幹久】