阪神藤浪晋太郎投手(25)が“今季ラスト登板”に臨む。高知・安芸の秋季キャンプで17日に行われる今年最後の紅白戦に登板予定。今キャンプで指導を続ける山本昌臨時コーチ(54)からは、実戦に向けて手首の使い方など3カ条を示された。この2週間の取り組みをついに打者相手に見せる。

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「いい感じで投げられているので、それを出せるか出せないか。試すという感じです。山本さんにはいつも分かりやすく教えてもらって、それを出せたらと思います」。山本氏の指導のもと、藤浪が続けてきた取り組みを試す場がやってきた。

山本氏は17日の紅白戦は所用で一時キャンプを離れる予定で、今季最後の実戦に挑む右腕に「日曜日頑張れよ! 3つだけやってくれればいいから!」と声を掛けた。改めて授けたのは、好投への「3カ条」だった。

(1)手首を立てること

(2)上を見ないこと

(3)リリース時にラインを外さないこと

手首を立てることでリリースが縦になり、直球の安定感につながる。上を見なければ視線もぶれず、最後まで腕を振り下ろす感覚を保てる。また「ライン」とは体の前方に出した左手の先と左肘を結ぶラインのことで、この範囲内でリリースすれば横ぶれを防げる。

いずれも約2週間のキャンプで受けた山本氏の教えが凝縮されたものだ。

登板を2日後に控えた藤浪はブルペンで68球を投げ込んだ。今キャンプで初めて梅野とのバッテリー。初めて右打者を立たせてクイック投法にも取り組み、実戦に向けたものになったようだ。その後は約15分間の“おかわりブルペン”に立ち、納得いくまで感覚を確かめた。

指導を終えた山本氏は「フォーム的な修正は進んでいる。今の形が出てくれたらと思っています」とここまでの取り組みに一定の手応えを感じた様子だった。キャンプには再合流する予定で「また紅白戦で課題が出れば、つめていこうと思います」と話した。

取り組みを見守ってきた矢野監督も「段階的にはだいぶ進んでいる。今自分がやろうとしていることが出来るか、というところに来ている。それを試してもらえばいいんじゃないかな」と背中を押す。不振で今季未勝利に終わった背番号19。その新たな取り組みがどんな結果に表れるか、多くのファンが楽しみにしている。【磯綾乃】