阪神の新外国人ロベルト・スアレス投手(29=ソフトバンク)は「ジョンソン流」の秘密兵器で鉄腕ぶりをキープする。甲子園での自主練習に参加後、オンライン取材に対応。チームの活動休止期間中のユニークな自宅での練習について「ボールを中に入れて、靴下みたいなのがある。家の中で空間を見つけてやっていた」と明かした。通訳は「ジョンソン選手がやっていたようなヤツですね。ボールを袋の中に入れて、キャッチボールの前にジョンソン選手が去年やっていたと思います」と補足した。

ジョンソンは昨季、救援で大活躍。58戦登板で2勝3敗40ホールド、防御率1・38の安定感を誇った。オフに大リーグのパドレスに移籍したが、練習法は“継承”されていた。

ジョンソンは昨年2月、ブルペン入り前に右手に黒い袋状の道具をつけてシャドーピッチングを披露。日本では珍しい光景で「重たいボールが入っている」と明かした。袋の中で球をリリースするため、1人で投球練習できる利点がある。広い場所は不要で「おうち時間」を過ごす剛腕にとって、貴重なアイテムだ。現役時代の藪恵壹もこれを使っていた。

この日のスアレスはブルペンで30球を投げた。「真っすぐもしっかり走っていたし、コントロール良く投げられた」と充実の表情だ。オフタイムは英会話、日本語マスターや料理など大忙し。「何か新しいことを見つけられる期間」と話す。ヤクルトの兄アルバートとの対決も目標だ。開幕ローテーションを争う最速161キロの剛腕は順調だ。【酒井俊作】

 

〈阪神選手の主な秘密兵器〉

◆掃除機改造 95年にグレンが、掃除機を改造した練習機を持ち込んだ。空気圧でスポンジボールを上げ、右手に持ったプラスチック製バットで打つ珍練習。

◆パラシュート 中村勝広監督時代には直径50センチのパラシュートを腰につけてランニング。空気抵抗を利用して負荷をかける練習。

◆魔球養成ギプス 藪がボールを握った右手首に靴下のような特製の袋をはめてシャドーピッチング。テープで手首を固定することで実際に球をリリースしても球は袋部分に収まり、手元に残った。

◆トップガン 金本をサポートする京都府立医大の吉川教授らが09年、動体視力を維持向上させるゴーグル型の装置を開発。シンガポール空軍が使用するプログラムを改良したもの。

◆紀香棒 女優藤原紀香が愛用するトレーニンググッズ「ストレッチポール」を09年、蕭一傑ら新人7選手が自費購入。ポールの上に体を乗せ背筋や肩周りの筋肉を伸ばすために使用。

◆テニスボール+棒 13年開幕後に来日したボイヤーは、テニスボールに約50センチの木の棒を付けた「ペニー」と呼ばれる器具を持参。シャドーピッチングに使った。

◆物干しざお? 藤浪が14年夏、長さ約2メートルの棒を両肩で担ぎトレーニング。ゆっくり膝を折って歩いたり、カニ歩きなどを行った。姿勢を正しバランスをよくする狙い。

◆一本歯のげた 16年の自主トレで岩田が使用。股関節周りを重点的に鍛えるため、体を治療する前に5分間歩いたりした。

◆打球データ測定器 19年秋季キャンプで、打球速度や打球角度などのデータを計測できる「Rapsodo」(ラプソード)のヒッティング版をテスト。大山がトップクラスの打球速度170キロを計測。

◆ビジョントレーニング眼鏡 近本らが今春、Visionup(ビジョナップ)という眼鏡を着用し、ボールの見え方を確認。視野を断続的に遮断して見えにくくすることで眼筋を鍛え、見る力の向上をはかった。