広島鈴木誠也外野手(25)が10試合ぶりとなる12号ソロを放った。2点を追う2回に反撃の1発。4回には犠飛でこの日2打点と、主砲が孤軍奮闘の働きをみせた。試合は敗れ主砲の1発は空砲に終わったが、次戦につながる希望の光となった。

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鈴木誠は西勇の甘い球を逃さなかった。2点を追う2回先頭での打席。カウント1-1からの3球目だった。真ん中への140キロツーシームを一閃(いっせん)。鋭く放たれた打球は左中間スタンドに飛び込んだ。「自分のスイングでしっかり捉えることができました」。8月2日巨人戦以来10試合ぶりの1発となる12号ソロだ。

見せ場は続いた。2点を追う4回、先頭の長野が右中間を破る三塁打でチャンスメーク。迎えた第2打席で、今度は外角低め変化球をセンター方向にはじき返し、中犠飛で2打点目をたたき出した。「少し浅かったですが、長野さんのおかげです」と振り返った。

今季は西勇キラーぶりを発揮している。3試合の対戦で10打席に立ち、2本塁打を含む6打数4安打、打率6割6分7厘、3打点。昨季は25打席でわずか3安打に抑えられた相手を今季は攻略しつつある。8月7日の積極的休養を挟み、飛び出た久々の1発。主砲の打棒が勢いに乗ってきた。

しかしチームとしては西勇を打ち崩すことができなかった。前回の対戦と同様に4安打に封じ込まれ、得点は主砲が稼いだ2点のみに終わった。高ヘッドコーチは「西はコントロールがいい。根気強くいかないといけない。もう一つ的を絞っていく必要がある」と話した。

ルーキー森下のプロ初完封勝利でカード頭を取っただけに、乗っていきたいところで痛い1敗となった。佐々岡監督は「もう1回気を引き締めて、集中力を高めて明日戦っていきたい」と切り替えた。16日は勝利をもぎ取りカード勝ち越しを決め、来週の本拠地6連戦へ弾みをつけたい。【古財稜明】