巨人菅野智之投手(30)が「平成の大エース」に肩を並べた。阪神8回戦(東京ドーム)で今季3度目の完封勝利を飾り、開幕から無傷の8連勝。球団で開幕投手からの8連勝は90年斎藤以来、30年ぶりの快挙を達成した。阪神高橋との息詰まる投手戦で三塁を踏ませず。背番号「18」が8月18日に“ハイパー”な投球を披露した。今季初の中5日で、またもやチームの連敗をストップ。自身通算20度目の完封で「伝説の大投手」沢村栄治に並んだ。

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27個目のアウトを、菅野はガッツポーズでかみしめた。斎藤が8連勝を達成した90年5月29日。生後7カ月だった赤ん坊が、30年の時を経て、開幕から無傷の8連勝。沢村栄治に並ぶ通算20度目の完封勝利で、歴史の扉をこじ開けた。

菅野 巨人は歴代、名だたる投手ばかり。先人の方の記録に追いついたり、塗り替えるのはなかなか難しい。肩を並べられたのは誇りに思いますし、それに恥じないピッチングをこれからもしていかないと。

歴史に名を刻んだ瞬間、次なる思考はその重みを背負って、マウンドに上がり続けるエースとしての使命。教えてくれたのは、斎藤氏だった。2年目の14年に自身初の開幕投手を任され、16年まで開幕戦3連勝をマーク。斎藤氏から掛けられたのは「オレは3年連続完封。ハッハッハッ」と愛情あふれるゲキだった。

「すごい、としか言いようがないです。シーズンでは11試合連続完投ですから」。だから、開幕から8連勝で同氏と肩を並べても「まだまだ足元にも及ばないと思いますけど、ちょっとでも近づけるように連勝を伸ばしていきたいです」と先を見据えた。

エースにこの試合を託した原監督は「見事なピッチング。(今季)一番良かった」と絶賛した。選手として「平成の大エース」斎藤を、監督で「ハイパーエース」菅野を間近で見る。「斎藤という投手も素晴らしかったし、菅野智之という投手もジャイアンツの中で、名を残す投手になると思いますね」と両右腕を球史に刻んだ。

大黒柱として、投手陣では今季初の中5日を「格別なものがあります」と1-0の3安打完封で全うした。125球中、150キロ超えは33球。9回2死、サンズに対して、122球目にこの日最速タイの153キロをマークした。「中5日ぐらいでヒーヒー言ってたら、先発は務まらないと思うので大丈夫です」と力強く言った。【久保賢吾】

▼菅野が今季3度目の完封勝ちで開幕8連勝。開幕8連勝以上は18年菊池(西武)以来となり、巨人では90年斎藤以来5人、8度目だ。菅野はこの日が登板9試合目。巨人で開幕8戦8勝はおらず、登板9試合目で開幕8連勝は90年斎藤以来2人目。他球団を含めると、開幕8戦8勝が4人おり、9試合目以下で開幕8連勝は9人、10度目だ。斎藤は2試合目から8試合連続完投勝利だったが、完封は2試合だけ。登板9試合目までに3完封を含む開幕8連勝以上は48年中谷(南海)58年金田(国鉄=9戦9勝)に次いで3人目になる。なお、菅野の1-0完封は18年9月28日DeNA戦に次いで3度目。