青森山田シニアが東北楽天シニア(宮城)に競り勝ち、7年ぶり3度目の夏の東北王者に輝いた。決勝戦は、坂野泰我と三浦遼大の継投策で、強打の東北楽天シニアを1点に封じての快勝劇。準決勝の本荘由利シニア(秋田)戦は、8番・佐藤千真と9番・木村兜雅(とうわ=4人とも青森山田中3年)の2者連続本塁打で逆転し、波に乗った。現チームは昨秋の新人東北大会、楽天カップに続き、みちのく3冠を達成した。準優勝の東北楽天シニアとともに日本選手権(9月20日開幕、東京ほか)へ出場し、全国選抜で敗れた悔しさを晴らす。

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青森山田シニア・三浦が最後の打者を右飛に打ち取ると、ナインは一斉にマウンドへ向かって走った。ひとさし指で1番と示しながら、喜びを分かち合った。胴上げ投手となった三浦は「守備陣にも助けられて(残りの)3イニングをしっかり投げきれた」と、1点差の勝利に、達成感をにじませた。

準決勝に続き決勝も先発を任されたサイド右腕・坂野は、テンポの良い投球で翻弄(ほんろう)した。昨冬に習得したツーシームで相手に的を絞らせず、すべて打たせて取った。4回1安打無失点の快投に「自分の持ち味を出せた。優勝できて良かった」と納得の表情を見せた。

劣勢をはね返した準決勝で、勢いがついた。本荘由利シニアに3点をリードされて迎えた5回、6番・渡會陽向外野手と7番・川下大翔内野手(ともに3年)の連続三塁打で1点を返し、なお無死三塁。8番・佐藤が直球をややのけぞりながら強振。打球は一直線で左翼スタンドに飛び込み、起死回生の同点弾となった。佐藤は「打った瞬間に手応えがありました。公式戦では初めての本塁打です」と声を弾ませた。続く9番・木村も右翼ポール際に運び、2者連続アーチで劇的に逆転した。木村は「内角の変化球をしっかり捉えられた。柵越えホームランは初めて」と興奮しながら、ダイヤモンドを1周した。

全国で味わった悔しさを糧に今大会に臨んだ。18日に全国選抜(大阪)で大宮シニア(関東・埼玉)と対戦。4-11のコールド負けを喫し、初戦で姿を消した。試合翌日の19日にバスで13時間かけて青森に帰った。中條純監督(29)は選手の疲労も考慮し、20日は練習オフを考えていた。それでも、主将の野村祐内野手(3年)を中心に選手同士で話し合い、指揮官に「練習させて下さい」と直談判。「うれしかったですね。私も情熱を持って(選手を)指導しているので、そういった言葉を言ってくるなんて。相当悔しかったんだと思います」と中條監督。敗戦からチーム一丸で手にした優勝旗だった。

日本選手権の初戦は強豪・静岡裾野シニアと対戦する。野村主将は「持ち味の粘り強い野球で全国選抜のリベンジをします」と意気込む。選抜の借りは、選手権で返してみせる。【佐藤究】