主役が打たなきゃ始まらない。日本ハムは4番中田翔内野手(31)の大ブレーキで首位ソフトバンクに敵地で3連敗を喫し、球団通算1万試合目を勝利で飾れなかった。1点を追う6回無死一、二塁の場面で併殺打に倒れ、追い上げムードを消した。今カードは3試合で計12打数無安打5三振。今季ワーストを更新中の10試合連続ノーアーチと苦しむ主砲と比例するように、チームも今季最多の借金7となった。

詰まらされた打球と同じく、力弱く一塁へ走りだすしかなかった。中田が試合の主導権を奪い損ねた。1点差に迫った直後の6回無死一、二塁。この回から登板したソフトバンク高橋礼は、いきなり3連打を浴びて浮足立っていた。逆転劇への道筋は見えていたが、内角への133キロ直球をバットの芯で捉えられず、二ゴロ併殺打。最大のチャンスを逃すと、その裏にリリーフ陣が崩れた。

チームでただ1人、全試合出場を続ける大黒柱の大失速は、チームの結果にも直結する。6回の攻撃を振り返った栗山監督は「全て、この3連戦、いろんなことで結果的にそういう風になっているわけだから。それはしっかりみんなで受け止めて、しっかり変えていくしかない」。中田は今カード、1度も出塁すらできなかった。開幕から続けてきた、ここぞの場面での活躍が今は影を潜める。

4番が打って得点をもたらす意味の大きさは、数字が物語る。今季は中田が打点を挙げた47試合は31勝14敗2分と大きく勝ち越すが、この日で45試合目となった打点0の時は10勝34敗1分。栗山監督が「主役」と位置付けるのは、中田が試合の勝敗を決められる存在だから。背負う宿命は重たいが、今季のチームで背負えるのも中田しかいない。

大事な上位2チームとの6連戦を1勝5敗で終えた栗山監督は「本当に今年を、ある意味、象徴しているのかもしれない。しっかり受け止めてしっかりやっていくよ」と努めて冷静に振り返った。続けて、今季ワーストの10試合連続ノーアーチの中田も含め、チーム全体に向けて「前に進むしかないだろ。経験したことが生かせなかったら何の意味もない」とげきを飛ばした。悔しさしか残らなかった、球団通算1万試合目。残り28試合。4番の意地を見たい。【木下大輔】

▼チーム通算1万試合=日本ハム 4日ソフトバンク戦21回戦(ペイペイドーム)で達成。初試合はセネタース時代の46年4月27日巨人戦(後楽園、0-12の敗戦)で、1万試合到達は6球団目。パ・リーグではオリックス、ソフトバンクに続き3球団目。