日本ハムのドラフト2位、中大・五十幡(いそばた)亮汰外野手(21)が6日、同大の多摩キャンパスで指名あいさつを受けた。「サニブラウンに勝った男」は、高校時代に直面した意外な苦悩を明かした。

五十幡は足が速いという自分の最大の長所がある中で、高校(佐野日大)の時は自分の中ですごくプレッシャーに感じていた時期があった。走らなきゃいけないというので、盗塁から目を背けていたという時期があった。

50メートルは手動計測で5秒6、100メートルは中学3年時に10秒79という記録を持つ。中学時代にサニブラウンを抑えて全国中体連の陸上短距離2冠に輝いた実績も踏まえて、佐野日大時代から注目を集めたが、大きな重圧だったという。「これだけ速かったら走って当たり前だろという周りからの目もあった。もともと盗塁もすごく苦手だったので、ちょっと嫌になってしまったのがあった」。

転機は中大進学後。プロ野球選手という夢をかなえるには「まずは一番の長所である足、盗塁の部分で磨きをかけようと。動画を見たりして研究もすごくした。その辺に対する野球の取り組み方は変わった」と日本ハム西川や元ヤクルト福地、元阪神赤星らスピードスターの映像を見るなどして、技術を高めたという。 日本ハムのスカウト陣も高校時代と比べて、現在の五十幡の盗塁技術などの成長ぶりを高評価した。昨年から担当して五十幡をマークしてきた坂本スカウトは「今年の冬くらいから清水監督の熱血指導に対して、非常に黙々とやっている姿が非常に印象的だった。裏表がなく、絶対に弱音を言わない。疲れた顔を見せない。人間的に成長したなと一番、感じた」と話した。苦手の盗塁克服から始まる努力から、精神力を含めて人としての成長ぶりもドラフト2位という指名につながった。

足だけでなく、走攻守の3拍子がそろった即戦力として期待される五十幡は「出身は埼玉県なのですが、小さい頃から日本ハムファイターズの試合をよく見させていただいて、本当にファンの方もそうですし、すごい温かい球団に入ることができてとても光栄に思っています。指名していただいて、その期待に応えられるように、球場をかき回せられるように頑張ります」と意気込んだ。