西武辻発彦監督(62)が、チームの元気印・山田遥楓内野手(24)に珍指令を出した。「あいつには声出すなって言った。ふざけたことばっか言ってんだから。野球に関係ある声を出せって。グラウンドでの声は、ふざけてやんな。なんでもかんでも声だしゃあいいってもんじゃないって」。春季キャンプ第1クール。例年に比べ山田の声が少なかったが、無観客でファン不在だからではなく、指揮官からのお達しだった。

山田は、人一倍大きな声で練習の雰囲気を活気づける。ソフトバンク松田に弟子入りし、「熱男」ならぬ「獅子男」と名乗る盛り上げ役。一方で、野球に関係ない声を辻監督は疑問視した。「元気があるだけじゃ野球はできない。しっかり元気出して盛り上げるのもいいけど、まずは自分のことを考えて、レギュラーをとる、試合に出る、1軍にいるってことを考えて野球やれって」。プロ7年目でくすぶる山田に、辻監督ならではの「獅子の子落とし」ならぬ「獅子男の子落とし」だった。

もちろん、若手の元気有り余る猛アピールは大歓迎。「若い野手がばかみたいなアピールが足らないよね。第2クールに入って、ちょっと慣れてからの立ち居振る舞いで、何か感じられたらいいけどね」。プレーに集中しながらも、血が煮えたぎるような若獅子のエネルギーに期待する。6日から始まる第2クール。ブレーキとアクセルを踏み分けて、かじ取りをしていく。【栗田成芳】