“雨柳さん”の本領発揮だ。阪神青柳晃洋投手(27)が先発予定だった20日のヤクルト戦(甲子園)は、雨で中止となった。今季の阪神の中止は5試合目だが、うち3度目の雨男ぶり。プロ通算は11度目で、予告先発では実働6年目にして、同10年のメッセンジャーに並ぶ球団最多記録になった。だが、雨で甲子園での今季初先発を阻まれても暗さはない。「1番になれることは、いいことだと思うので。やっと『雨イコール青柳』って定着できたと思う」とユーモアで応じた。

矢野監督は中止決定後に「青柳をいったん飛ばす」と明言。スライドせず、交流戦開幕カードとなる25日からのロッテ3連戦(甲子園)に回る。だが恨めしいはずの雨も、恩返しの夢が膨らむ恵みの雨になった。

対戦を心待ちにする人がいる。「トリさんにはいろんな言葉をかけてもらったり、恩がある。トリさんと対戦ができるのはすごく楽しみではありますね」。ロッテ鳥谷敬内野手(39)は、一昨年までのチームメート。ロッカーも隣だった先輩からプロの姿を教わった。

忘れられないのは、先発ローテを回り始めた19年。6月中旬から約2カ月、勝ち星から見放された。「落ち込むなら(2軍の)鳴尾に行ってから落ち込め」。下を向く青柳に、鳥谷が掛けた言葉だった。

「1軍のロッカーに来られてる時点で次がある。過ぎたことは変えられないし、次のことを考えて、切り替えて落ち込む必要はない、と。その代わり、鳴尾にいったら全力で落ち込め、って」

青柳は同年、キャリアハイの9勝を挙げ、昨季は7勝。今年は防御率2・00の安定感で、首位快走に不可欠な存在に成長した。

「プロ野球というのを教えてもらったのがトリさん。特別な思いはあります」。導いてくれた感謝は投げ勝つ姿で返す。「選球眼がめちゃくちゃいいのはもちろん。狙ったボールをしっかり打ってる印象が強い。僕だったら配球の偏りだったりをなくしたほうがいい」。今季4勝目は、お世話になった先輩の前でつかむ。【磯綾乃】