中日大野雄大投手(32)が、17日ぶりの復帰マウンドでエースの貫禄を見せつけた。7回3安打6奪三振1失点。白星はならなかったが、上肢コンディショニング不良による戦線離脱のブランクは感じさせず、執念ドローに一役買った。

初回から最速150キロをマークするなど全開だった。梶谷、ウィーラー、丸を3者連続三振に斬ると、5回2死まで無安打無失点。前回4月13日の対戦でも被弾した広岡に先制2号ソロを浴びたが、7回はその広岡を2ナッシングと追い込み、被弾したツーシームで史上152人目の通算1000奪三振を奪った。

「1つめの坂本選手から取った三振。いまでも覚えている。フォークで三振を取った」。プロ初登板の11年10月14日の巨人戦。同学年の坂本から三振を奪ってから10年の道のりを思い起こした。189試合目での到達は中日では今中慎二氏(野球評論家)の186試合に次ぐスピード記録。19年のノーヒットノーランや、昨季の沢村賞受賞などとともに、竜の“新ドクターK”としてその名を刻んだ。

だがエースらしく、記録よりチームの先を見据える。「7回を投げられて、体も問題なく投げ切れて良かった。勝てれば一番よかったけど、マイナスばかりではない。巨人をあと一歩のところまで追い詰めていた」。チームは借金6で首位阪神に11ゲーム差の5位に沈む。だが、まだ100試合ある。エースの復活が、与田竜の大逆襲に勇気を与えたことは間違いない。【伊東大介】

▼通算1000奪三振=大野雄(中日) 21日の巨人9回戦(バンテリンドーム)の7回、広岡を見逃し三振に仕留めて達成。プロ野球152人目。初奪三振は11年10月14日の巨人22回戦(東京ドーム)で坂本から。