1年前の今ごろ、何してた? 首位阪神を支えるのがドラフト1位佐藤輝明内野手(22)、同2位伊藤将司投手(25)、同6位中野拓夢内野手(24)の新人トリオ。アマチュアだった昨年の今ごろはコロナ禍により1度目の緊急事態宣言で、公式戦中止や活動自粛など大変な時期を過ごした。その期間をどのようにプラスにしたのか、それぞれが所属した監督に当時の様子を振り返ってもらった。

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即戦力左腕として加入した伊藤将は開幕から5試合で3勝1敗。防御率2・57とその実力を発揮している。1年前は勤務するJR東日本の東京支社でもリモートワークとなっていた。原則外出自粛の中、近隣住民の理解もあり野球部は寮とグラウンドの徒歩5分の距離を行き来する毎日だった。

春の公式戦は次々と中止になった。実戦感覚を失わないために、JR東日本のチームカラーである緑にちなんだ紅白戦を意味する「緑白戦」を週3、4回行っていた。浜岡武明監督(48)は「野球選手は野球ができれば、(メンタル面なども)何とかなる」と話した。

伊藤将は登板する機会は多かった。味方にケガ人を出すわけにはいかないが、内角も攻めなければいけない。浜岡監督は「内角へ投げきるコントロール、味方ならではの対戦の中で打者との駆け引きが磨かれていった。もともといい投手だったけれど、ゲームを作れる投手になった。打者がここを狙っているなとか、勝負勘もある勝てる投手になった」と、この時期に実戦派として大きく成長したという。今季、阪神でここまで140人の打者に対して死球は0。四球も6個しか与えていない。

昨春の我慢の時期を浜岡監督は「野球をやらせてもらえる感謝の気持ちを改めて感じたと思う」と話す。その喜びを感じてマウンドに上がった10月5日の都市対抗野球・東京2次予選、第1代表決定戦のNTT東日本戦では、9回1死までノーヒットの1安打完封でプロのスカウト陣をうならせた。プロでは長いシーズンを戦い抜く。浜岡監督は「研究されても柔軟に対応することができる。(動じない性格も)関係あると思いますね」と、プロの荒波にも十分に戦っていけると期待した。【磯綾乃】