オリックス能見篤史投手兼任コーチ(42)が、フォア・ザ・チームに徹している。

今季ここまで21試合に登板し、0勝0敗、2セーブで防御率3・44の成績で「若い選手中心で動いているのは、これからのオリックスにすごく良いこと。(若手に)負けてられないというよりは、自分にしかできない役割がある」と前半戦を振り返る。

今季からオリックスに加入したベテラン左腕はコーチ兼任で「気持ちの変化はありますね。選手だけではなくなったので、僕は。いろんな首脳陣の思いは(選手の中で)僕しか知らない。それを表現するのも、僕しかいない」とパイプ役も務めている。

自身の若手時代は、阪神に在籍したため、灼熱(しゃくねつ)の鳴尾浜で汗をかいた。42歳の今も、大阪・舞洲でアンダーシャツをびっしょりとぬらすが「もう時代が違うんでね。自分が若い頃? 振り返ってみると基本的に、親切ではなかった。自分でやらないと。助けてはくれるんですけど、そこまでは。プロの世界なので、結果が全て。今とは全然違う、今(同じように)やったら、みんなつぶれますよ」と笑う。

「今は、昔みたいにダメだったらポイじゃない。みんな、課題はずっとあるんですよ。みんな、理想を持ってると思うんですけど、全部が全部そうにはならない」

さらっと言うが、深く、重い。

「プロの世界。自分でポジションをつかめば、お金も上がるだろうし、いろんな成長ができる。いいチャンスと思ってほしい」

コーチ兼任で、ときには20歳ほど年齢差のある選手と切磋琢磨(せっさたくま)する。「(年の差は)ないですよ。みんな気にしてない。宮城なんて全然、感じてないですよ(笑い)。最近、僕がイジられてるんで。僕は(兼任で)実践できるところにいる。(投球で)なんとか伝えられたらなと」

首位ターンの背景には、選手でもコーチでもない“能見さん”のパーソナル部分が生きている。【真柴健】