中日は6日、5年目右腕の木下雄介(きのした・ゆうすけ)投手が3日に名古屋市内で死去したと発表した。27歳。大阪市出身。家族の意向もあり、死因や通夜、葬儀日程などは伏せられた。球団によると、ナゴヤ球場で右肩のリハビリを行っていた7月6日に倒れ、入院していた。現役選手の突然の死に、チームは深い悲しみに包まれた。

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突然の訃報に、声が出なかった。「本当にいい兄貴分だったんで…」。前阪神で四国IL・徳島の福永春吾投手(27)は木下さんの死に驚きを隠せなかった。2人は15年、徳島に同期入団。1歳下の福永が先発で、木下さんがリリーフする試合が何度もあった。16年6月には四国IL4チームの代表で北米遠征に同時選出。その年のドラフト会議では、福永が阪神ドラフト6位指名、木下さんが中日から育成1位指名を受け、一緒にうれし涙を流した。

大阪出身同士。「徳島から帰阪するときも一緒。本当によくしてくださった先輩でした」。何度一緒に、大鳴門橋や明石海峡大橋を渡ったことか。心から信頼できる、面倒見の良い先輩だった。福永が昨年、阪神を戦力外になった時のこと。「連絡をいただきました。『お前なら、まだまだやれるぞ!』と。グッときました」。その言葉を胸に、福永は徳島に戻った。木下さんと同じNPBの舞台に戻れることを信じて…。

「入院していると聞いたときから、心配でした。まさか、亡くなるとは…」。精いっぱい、言葉を絞り出した。木下さんを思って腕を振る。2人が出会った徳島から。【真柴健】